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橋之助、梅枝、萬太郎、宗生が意気込みを披露~6月国立劇場 歌舞伎鑑賞教室


 6月国立劇場 歌舞伎鑑賞教室では『解説 歌舞伎のみかた』『新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)-魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)-』が上演されます。公演に先立ち、中村橋之助中村梅枝中村萬太郎中村宗生が公演への思いを語りました。

【中村橋之助】
 『魚屋宗五郎』は20年ぶりになります。前回も国立劇場で上演させていただきましたが、当時長男の国生が産まれたばかりの頃でとても印象に残っています。その後は、勘三郎(十八代目)の兄が勤めることもあって機会が無かったのですが、今年10月には芝翫襲名もあり、橋之助のあいだにやるべきものをやっておきたいという思いから、20年振りに宗五郎を勤めさせていただくことに致しました。 

 前回は、菊五郎のお兄さんに細かく教えていただき、おはまには雀右衛門(上演時・芝雀)のお兄さんなど、廻りの方々に助けていただきながら勤めました。今回はおはまを梅枝さん、父太兵衛に橘太郎さん、磯部主計之介に萬太郎さん、三吉に宗生と、若い中に入ってやらせていただきます。20年前とは違った意味で、まとめるということも必要になると思っています。

 初めて三吉を勤めたとき、三津五郎(九代目)のおじ様に教えていただいたのですが、「改めて教えて下さいと言われても、教えようが無いんだよね」と言われたのが印象的でした。松緑(二代目)のおじ様、梅幸(七代目)のおじ様、そして父(七代目芝翫)と何度も舞台をされていて、言葉では教えられない“暗黙の了解”のようなものがあると・・・まさにアンサンブル、自分だけがよければいいというのではなく、チームで“宗五郎一家”という家族を作って行くことが大切だと教えていただきました。今回もチームワークを大切に、皆で“宗五郎一家”を創っていきたいと思っています。


【中村梅枝】
 昨年巡業で、菊之助さんの宗五郎でおはまを勤めさせていただき、今回で2度目になります。巡業では、そろそろ何も考えずに菊之助さんと合わせられるかな・・・と思ったところで公演が終わってしまいました。今回は初演のときよりも思うこともあるでしょうし、感じることも多々あると思うので、そういう事を大事に、父(時蔵)の教えも大切に勤めたいと思っています。

 父からは、お客様に見せるための身体の位置などを細かく教えていただきました。世話物の女方は好きで、巡業では、ついセリフが強くなってしまい、おはまらしさが無くなってしまうこともありました。無駄な動きをせずに、しっかり世話物の芝居をする、そして、自然に“毎日あそこで生活をしている”ようなテンポになるよう、皆と間を合わせながらチームワークを大切に舞台を創っていきたいと思っています。


【中村萬太郎】
 今回、解説『歌舞伎のみかた』と、『魚屋宗五郎』では磯部主計之介を勤めさせていただきます。こんなにも早くお殿様を勤めさせていただけるとは思っていませんでした。難しいのですが、武士が庶民に対して頭を下げる、それがどれだけ大変なことなのかをお客様に伝えることができるように演じたいと思っています。

 鑑賞教室は3回目、初心を忘れずに勤めていきたいと思います。時代物と世話物の立廻りの違い、さらに『魚屋宗五郎』でも重要な要素の一つとなる“黒御簾音楽”の説明をしたいと思っています。6月17日の「 Discover KABUKI―外国人のための歌舞伎鑑賞教室―」でも解説を勤めさせていただきます。歌舞伎の世界は今の日本とは違っていて、学生の方にとっても外国の方にとっても異文化の事が描かれています。ですから、あまり外国の方ということは意識せず、学生の方と同じように解説をしたいと思っています。


【中村宗生】
 今年福之助を襲名させていただきますが“それまでに出来る限りのことを精一杯する”という目標を持っています。その中で三吉というお役をやらせていただけて、緊張している反面、すごく楽しみです。今は経験を欲していて、舞台に立てるのがとても嬉しいです。「失敗してもそれを踏まえて次の日に」と、全てを良い経験だと思いながら勤めています。

 昨年の平成中村座で勘九郎の兄の宗五郎をよく観ていました。その舞台に父と出ることができてとても嬉しいですし、いつかは宗五郎にも挑戦してみたいという思いもあります。