中村 芝翫 (8代目) ナカムラ シカン

屋号
成駒屋
定紋
祇園守、裏梅
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼芝翫襲名後、舞台ぶりが一段と大きくなった立役。中村幸二の名での子役時代から芸達者ぶりで名をはせ、先輩から意欲的に芸を学んだ。錦絵を思わせる整った大きな目鼻立ちは時代物の武将の役に打ってつけ。先祖の型を復活した四代目芝翫型での『熊谷陣屋』の熊谷直実、『盛綱陣屋』の佐々木盛綱など時代物の大役や『勧進帳』の弁慶に成果をあげ、『平家女護島』の通しでは、平清盛で権力者の傲慢を、俊寛では島にただ1人残された悲しみと諦めを表現、また『国性爺合戦』の甘輝で颯爽ぶりを示し、南北物の『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』の薩摩源五兵衛では愛した女性に裏切られた男の絶望と狂気を見せた。近年では『魚屋宗五郎』の宗五郎、『髪結新三』の新三、『人情噺文七元結』の長兵衛などの世話物にも積極的に取り組み、芸域を広げている。『巷談宵宮雨』の龍達では、金に執着する破戒僧に挑戦し、見事に演じあげた。NHK大河ドラマ『毛利元就』では元就で主演した。

〔小玉祥子〕

経歴

芸歴

▼1965年8月31日生まれ。七代目中村芝翫の次男。70年5月国立劇場『柳影沢蛍火』の吉松君で中村幸二の名で初舞台。80年4月歌舞伎座『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』の裸武者石川銀八ほかで三代目中村橋之助を襲名。86年名題適任証取得。2016年10・11月歌舞伎座で八代目中村芝翫を襲名。

受賞

▼1970年5月『柳影澤螢火』の吉松君で、73年3月『恋女房染分手綱』の自然薯三吉で、81年4月『けいせい濱眞砂』の雑掌実は幇間(ほうかん)頓八で国立劇場奨励賞。90年関西で歌舞伎を育てる会優秀賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。92年第九回浅草芸能大賞新人賞。95年第十六回松尾芸能賞新人賞。95年と98年に眞山青果賞奨励賞。99年度第九回日本映画批評家大賞ゴールデン・グローリー賞。2010年度年日本芸術院賞。13年11月『伊賀越道中双六』の唐木政右衛門で、14年11月『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の仁木弾正で国立劇場優秀賞。

著書・参考資料

▼監修『84 八代目中村芝翫』(2016年、光文社)

舞台写真