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猿之助、愛之助が意気込みを披露~新春浅草歌舞伎
平成26年1月浅草公会堂で、浅草初春の風物詩「
新春浅草歌舞伎」が上演されます。
第1部は、戸板倒しや仏倒し、圧巻の立廻りが魅力の『義賢最期(よしかたさいご)』、浅草の待乳山聖天を舞台にした『上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)』、第2部は、、市川猿翁作の地獄を舞台にした舞踊劇『博奕十王(ばくちじゅうおう)』、上方和事の名作『新口村(にのくちむら)』、舞踊『屋敷娘(やしきむすめ)』『石橋(しゃっきょう)』が上演されます。開演前には出演俳優による『お年玉〈年始ご挨拶〉』もあり、こちらもお楽しみ!
公演に先立ち、市川猿之助、片岡愛之助が意気込みを語りました。
【市川亀治郎】
亀治郎としては卒業した浅草に、猿之助として初めて出演させていただきます。先日、私の先祖がこの浅草公会堂の楽屋口近くに住んでいたことを知り、また、浅草には猿之助横町という名の通りもありますから、襲名してさらに浅草を身近に感じています。また、猿之助を襲名させていただいた私の大きな根っこの一つがこの「新春浅草歌舞伎」でもあるので、この地でどうしてもご恩返しがしたいという思いも強く、皆様の力で猿之助にさせていただきましたというご報告も兼ねて、出演させていただくことになりました。
今回の演目は2つとも私が自主公演で初演をしたものでございます。おじの猿翁から、「自主公演で上演したものが認められ、それが本興行にかかるのは役者冥利だよ」と言われておりまして、とても嬉しく思っています。『上州土産百両首』は、浅草が舞台となっていて新春浅草歌舞伎にとてもふさわしく、あまり歌舞伎をご覧になった事のない方にも良く分かっていただける内容となっています。『博奕十王』もお正月らしく非常に楽しい内容になっています。どちらも本興行では初となる舞台ですから、お客様にはより楽しんでいただけると思っています。
浅草には思い出も多く、今は亡き芝翫のおじ様や雀右衛門のおじ様に、客席で見ていただき指導していただいたことが、どれだけ私にとって宝になっているか、今思い出しても本当に有難いことです。そうした宝を、次の世代に渡していくことが、本当の意味での伝統になるのだと思います。今回も頼もしい若手の後輩たちが大勢出演してくれます。我々が浅草で育てていただいたように、彼らもお客様に育てていただきながら、役者をとして力をつけてもらいたいと願っています。
【片岡愛之助】
『義賢最期』は今回で4回目、おじの仁左衛門に手取り足取り教えていただいた演目です。ご覧になった方からは、戸板倒しや仏倒しが大変ですねと、立廻りについての感想をよくお伺いします。私もはじめの頃は立廻の大切さをいろいろ気にすることが多かったのですが、上演を重ね、立廻りに行き着くまでの武士の生き様や忠義に心を引かれてくるようになり、どちらかというと立廻りは後に付いてくるものという意識に変わってきました。改めて上演を重ねることの大切さを感じています。
『新口村』で勤める亀屋忠兵衛は、同じ恋飛脚大和往来の『封印切』では勤めたことがありますし、また本興行でない舞台では勤めたことのあるお役です。その時は父の秀太郎に教えていただきましたが、父は祖父の十三世仁左衛門の相手役を数多く勤めていて、その時に教えていただいたとおりに勤めようと思っています。今回は相手役の梅川を中村壱太郎さんが勤めてくれます。上方の成駒屋と松嶋屋で勤められるのもとても嬉しく思っています。
新春浅草歌舞伎には、今回で5年連続9回目の出演となります。出演させていただくようになる前は、皆でお芝居を作っている感じが舞台に良く出ていて、そうした舞台に出演できることを羨ましく感じていました。一緒に出演させていただけるようになり、どうしたら一人でも多くの方が観に来てくださるだろう、ということも前向きに考えるようになりました。そして大役を勤めることで、次にその演目で他の役を勤める際に芯の人の気持ちも分かるようになります。そういう意味でも新春浅草歌舞伎は非常に大切な場です。後輩たちにもこれからの舞台に役立ててもらえるような公演になればと思っています。

