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猿之助が奮闘連続公演~10月新橋演舞場10月・11月明治座


市川猿之助奮闘連続公演と銘打ち、10月は新橋演舞場で「 十月花形歌舞伎」、11月は「 明治座 十一月花形歌舞伎」がそれぞれ上演されます。三代目市川猿之助(現猿翁)が創始した「猿之助歌舞伎」をはじめとした数々の名作に四代目猿之助市川右近をはじめとする澤瀉屋一門が取り組む注目の連続公演です。公演に先立ち猿之助が意気込みを語りました。

【市川猿之助】
 10月、11月は「奮闘連続公演」と銘打ち、澤瀉屋に所縁のある新橋演舞場と明治座、この両座で三代目猿之助四十八撰から代表的な通し狂言を3本、そして、なかなか上演されない『夏姿女團七』、また三代目猿之助の意思を継ぐ澤瀉屋一門による『高時』『俊寛』をお届けいたします。大変な力のいる公演になると思いますが、そこは普段気心の知れた澤瀉屋一門、また長年澤瀉屋を支えてくださった歌六さん、錦之助さん、竹三郎さんをはじめとする諸先輩に力を添えていただきながら、一人でも多くのお客様に歌舞伎の魅力を伝えたいと思っています。

『獨道中五十三驛』は最近では15役に減っておりましたが、私のモットーは「初演に戻して演じる」ということで今回は18役を、そして初演当時の鶴屋南北が目指した五十三次、これを五十三場上演するということを眼目にします。また『金幣猿島郡』、これはもう不動の地位を築く人気狂言でございます。『夏姿女團七』については上演が珍しく、先の富十郎さん以来、最近受け継いでいる方があまりいらっしゃらないということもあり、やらせていただきます。また『四天王楓江戸粧』は国立劇場で一度上演されただけて「再演は絶対に不可能」と言われてきた作品です。不可能と言われたらぜひやりたいという思いから、この作品を選びました。

三代目猿之助の作品は3S(ストーリー・スピード・スペクタクル)と言われますが、今の時点から見るとそれでもスピードが足りないのではないかと感じています。そういう意味で常に作品を洗い直すということは、三代目の精神を学ぶということに繋がります。三代目猿之助の真似をするのではなく、彼が何をしようとしたのかということを現代人の我々で考えるということが大切です。今回はスーパー歌舞伎セカンドで照明を担当してくださった原田保さんにも入っていただきます。古くからのスタッフと新旧混合で作品を創る、三代目猿之助の精神を四代目猿之助の肉体を使って表現したらどうなるか、試行錯誤することで作品に四代目猿之助の色が入っていくのだと思います。