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吉右衛門、又五郎、歌昇が公文協【東コース】への思いを語りました
平成26年度(公社)全国公立文化施設協会主催【
東コース(6月30日~7月31日)】では「松竹大歌舞伎 中村歌昇改め三代目中村又五郎襲名披露 中村種太郎改め四代目中村歌昇襲名披露」を上演します。演目は『双蝶々曲輪日記 角力場(すもうば)』『襲名披露口上』『傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 土佐将監閑居の場』の3演目。上演に先立ち、中村吉右衛門、中村又五郎、中村歌昇が公演への思いを語りました。
【中村吉右衛門】
又五郎さんも歌昇さんも、襲名以来、大変なご活躍で、播磨屋の一門としてとても嬉しく思っております。今回の巡業では、又五郎さんに『傾城反魂香』の浮世又平を、そして、歌昇さんには、私と舞台の上で五分に渡り合う『角力場』においての放駒長吉という大役に挑んでいただきます。巡業はいろいろな土地に伺うので、肉体的に大変なところもありますが、知らない場所に伺うことも好きですし、舞台と客席ではございますが、様々な方と交流することもできて、そうしたことも楽しみの一つです。
『角力場』は『双蝶々曲輪日記』という長いお芝居の一部分です。私が勤めます、濡髪長五郎という大人の世界を知っている相撲取りと、放駒長吉というまだ幼い心、純真な心を持った者、2人がどのようにぶつかるのか、というところを見ていただきたいと思っています。歌昇さんのように若い人は、びっくりするほどの煌めきを出します。それをどのように受けて返すか。舞台はキャッチボールですから、私と歌昇さん、2人の球の投げ合いをぜひ楽しんでいただきたいと思っています。
【中村又五郎】
平成23年9月に又五郎を襲名させていただき、その後、名古屋・京都・大阪・福岡の大劇場、さらに、昨年は公文協の、中央コース・西コースと廻らせていただきました。そして今年は東コース。このように襲名披露興行をさせていただけることをありがたく思っております。襲名では、多くの先輩方とご一緒させていただきました。思い出の一つに、名古屋の襲名の『寿曽我対面』で、團十郎のお兄様に工藤を勤めていただいた際、9月の演舞場で負った足の怪我をとても心配していただきました。本当にご一緒して下さった先輩方、共演してくださった皆さんに、感謝の気持ちで一杯でございます。
『傾城反魂香』の又平は、平成10年に国立劇場で勤めさせていただきました。その時、吉右衛門兄さんに教えていただいたことを、また洗い直し、もう一度、初役の時の心意気で勤めるつもりです。絵描きの又平の心の葛藤をご覧頂き、最後は小舞を舞って幕となるので、スッキリとしたお気持ちで劇場を後にしていただければと思っています。歌昇をはじめ次男の種之助、兄の歌六、芝雀さん、錦之助さんと、気心の知れた皆で廻る巡業は楽しみでもありますが、一所懸命に努力をして、精進したいと思っております。
【中村歌昇】
襲名披露興行も、今回の東コースで最後だと思うと寂しい思いもいたしますが、この間に様々なお役を経験させていただいたことに、とても感謝しております。毎日懸命に勤め、いろいろなことを教えていただき、本当に幸せな襲名披露でした。
今回『角力場』では、吉右衛門のおじ様と舞台の上で勝負ということで、今の僕にとってこんなに幸せなことはなく、本当に夢のようです。一所懸命に稽古をして濡髪に立ち向い、吉右衛門のおじ様を少しでも焦らせるようなことが出来ればいいなと思っています。また、長吉は父が襲名披露でも演じていて、その姿を見て「ああ、こういう役をやりたいな」と思っておりましたから、こうして勤めさせていただけるのは本当にありがたいと思っています。弟(種之助)や、米吉さん、隼人さんという近い世代がいるのも本当に心強いです。共に成長出来ていけたら良いなと思っています。


