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二代目松本白鸚・十代目松本幸四郎・八代目市川染五郎 襲名披露祝賀会が行われました

 平成30年1月、2月歌舞伎座で二代目松本白鸚を襲名する松本幸四郎、十代目松本幸四郎を襲名する市川染五郎、八代目市川染五郎を襲名する松本金太郎の襲名披露祝賀会が、11月26日(日)に都内のホテルにて行われました。

 はじめに、大谷信義松竹株式会社会長から「思い起こしますと、昭和56年に高麗屋さんの三代の襲名があってから、37年振りにこうして慶事を迎えるわけです。また、来年、歌舞伎座は明治22年の開場より数えて130年という節目の年を迎えます。七代目さん以来、歌舞伎座に出演されている高麗屋さんご一家のご襲名が盛大に行われますよう、皆様方にはお力添えを賜りますよう、お願いを申し上げます」と挨拶。続いて迫本淳一松竹株式会社社長から「新白鸚さんは、お祖父様(七代目幸四郎)、お父様(初代白鸚)から高麗屋の精神を受け継がれ、幅広い活動をされています。さらなるスケールの大きな舞台を勤めていただけることを期待しております。新しい幸四郎となられる染五郎さんは、将来の歌舞伎界の重要な俳優さんになっていただけると期待しております。また、染五郎になる金太郎さんは、立派な花形俳優として活躍してくれるように精進してもらえればと思っております」と挨拶がありました。
 続いて坂田藤十郎日本俳優協会会長が「歌舞伎は古いものではなく、新しいもの。歌舞伎の良さというものを、この襲名を機に間近に感じていただけると思います」と挨拶を行いました。


 1300人もの来場者を前に、染五郎は、「昨日、私、そして父が36年間名のってきた名前、そして伜が8年間名のってきた名前の千穐楽を迎えました。私なりに“明日こそなんとかしよう”という思いで、毎日舞台に立ってまいりましたが、千穐楽を終えてしまい、あれが出来なかった、これができなかったと、ただただ後悔するばかりです。ただ、染五郎でいた間、多くの出会い、多くのご指導、そして多くのご後援をいただきましたこと、本当に幸せに思っております。これからも高麗屋、そして藤間家の中にある芸の力というものを信じ、自分の勤めている舞台が歌舞伎の戦力となるということを、これまた信じまして、天に向かって歌舞伎の舞台を生涯勤めて参りたい所存でございます」と挨拶。
 続いて金太郎が「来年の1月から八代目として市川染五郎を襲名させていただきます。1月は憧れの役の一つでもありました『勧進帳』の源義経という大役を演じさせていただきます。また、2月は37年前に父が染五郎を襲名したときと同じ『仮名手本忠臣蔵』七段目の大星力弥を演じさせていただきます。どちらも高麗屋に縁のあるお役ですので、大変嬉しく思っております。これからも一生懸命に勤めますので、よろしくお願いいたします」。
 最後に幸四郎が「まるで夢のようでございます。三代の襲名がこうして実現ができたということは、本当に感無量です。“心”というものがいかに大事かということを、皆様お一人お一人のお顔を拝見していて思います。自分にとって節目というものは、そんなに堅苦しいものではないんだ、自分の頑張ってきたものを自分の息子に与える、その心が大事だと思って参りました。改めまして来年1月2月の襲名をどうぞよろしくお願い申し上げます」と挨拶を行いました。




 祝賀会の前には囲み取材が行われ、幸四郎は、「染五郎は、昨今、染五郎という器から芸が溢れてしまって、親としてそれほどの役者になったのかという喜びと、もったいないなという気持ちもあり、今回、器を幸四郎というものに変えると、そこでまた新たに芸がその器に詰め込まれるのではないかなと思っています。金太郎は、歌舞伎という木戸口をあけてやって、“さあこれからは一人で勉強して修業して精進してらっしゃい”と、背中をポンとおしてやる、そんなような心境です。
 九代目と別れる舞台を昨日済ませましたが、あんなにも温かい拍手とお声を掛けていただいて、お名残惜しいです。本当にお名残惜しいけれども、きちんと自分は別れを告げて、息子が控えておりますので、後に受け継ぐ者に手渡そうと思っております。私はアディショナルタイム人生になりましたが、アディショナルタイム、これなかなか馬鹿にならないんでね。アディショナルタイムに点が入るかも知れませんし、あわよくば逆転をするかもしれません。それぐらいの意欲と心意気を持って、白鸚として生きていきたいと思います」とコメント。
 染五郎は「前回の襲名は8歳で、それほど舞台に出ていない時期でしたので、本当に多くの方々にいろいろ注目していただき、沢山の人に観られているという緊張感を感じていたことを思い出します。来年から新たな名前を許していただけるので、そこでしっかり皆様に恩返しをしていきたいと思います」。金太郎は「祖父も父も、歌舞伎以外のこと、そして歌舞伎でも新作を創ったり、新しいことに挑戦しているので、自分もそうなりたいと思っています。代々の染五郎がやってきたことを受け継ぎたいですし、それと一緒に、自分なりの染五郎を一から創っていきたいと思います」とそれぞれ語りました。