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歌舞伎座「七月大歌舞伎」市川右之助改め二代目市川齊入襲名披露取材会が行われました

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」(3日~27日)では、昼の部の『加賀鳶』にて、成田屋一門の市川右之助が二代目市川齊入(いちかわさいにゅう)を襲名することになりました。昭和30年に初舞台を踏み、昭和48年に十二代目市川團十郎に入門。以来、今日まで一門を支えてきた成田屋の最古参の俳優で、近年では一門の舞台には欠かせない存在となっています。5月28日(日)都内にて襲名披露取材会が行われ、市川海老蔵と右之助が公演に向けての思いを語りました。

【市川海老蔵】
 この度、長年、父十二代目市川團十郎のもとで修業を重ねてきた市川右之助さんが、市川家の中でも大きい名跡、齊入を七月大歌舞伎で襲名することとなりました。
 右之助さんは、私が子どもの頃から本当にお変わりがありません。新しく齊入になるということで、私もお力添えができればと思っています。父は亡くなりましたが、右之助さんは長らく私の傍にいてくださって、言い換えれば父や祖父のような存在です。

 右之助さんは幼少時に、三代目市川寿海のおじ様のもとで部屋子として過ごされていらっしゃいましたし、歌舞伎は伝統芸能という部分もございますから、ここはひとつ後続の指導にもあたって欲しいということをお願いしました。
 その流れの中で、右之助という名前で指導にあたるよりも、齊入という名で後輩の指導に重きを置き、歌舞伎の未来の為に芸の財産を継承させられる立場になっていただきたいとお話しさせていただきました。

 『加賀鳶』では初役で、天神町梅吉と竹垣道玄の二役を勤めさせていただきます。この役をまさか自分がやるとは思っておりませんでした。まずは誰に習うかということで、本来ですと音羽屋のおじ様(尾上菊五郎)や高麗屋のおじ様(松本幸四郎)といった大先輩に教わるというのが一つあります。ですが今回は急遽ということで、皆様都合が合わず中々難しいということがありました。
 また成田屋の形というのも大切だということで、今回は父の門弟に市川新蔵というものがおりまして、この二役を父に教わって勤めたことがございます。ここは私も腹を括り、初心に帰って父の弟子に教わりながら、父が目指していたものを新しい形で継承していければと思っております。
 二役ありますが、やはり道玄です。イメージとしましては二代目尾上松緑のおじ様や、十七代目中村勘三郎のおじ様、父や諸先輩方のイメージがありますが、実は道玄の実年齢は42歳で、今の私の方が近いのです。今と、その当時の42歳とでは雰囲気も違いますが、江戸の雰囲気をしっかりと表現し、父から新蔵が教わったものをしっかりと聞いてそれを体現できるように勤めていきたいと思います。

 夜の部の通し狂言『駄右衛門花御所異聞』は、演出家・脚本家の複数の方々に集まっていただいて創り上げた作品です。以前はこのように、複数で集まって狂言を創っていた時代もありました。皆さんと一緒に新たに面白く、誰でもわかるようなものでありながら、後世に残るような作品を創りあげたいと思っています。


【市川右之助】
 この度、曽祖父の名跡、二代目市川齊入を襲名させていただきます。これは、はじめにお世話になりました寿海のおじさん、そして一生のうちの大半をお世話になった團十郎の旦那のおかげと心より感謝しております、そして多くの皆様方のお力添えもあり、こうして襲名させていただくことになりました。
 襲名については、若旦那(海老蔵)がお勧めくださいました。最初お話を聞いた時はびっくりして、この歳で襲名をしていいのかどうか迷いました。ただ、5年前にガンを患いまして、その後5年間経って結局再発がなかったので、じゃあこれを機会にもう一回頑張りたいという気持ちが湧き上がりまして、このような運びになりました。

 旦那が十代目市川海老蔵を名のっていた頃、大阪の新歌舞伎座にいらっしゃいまして『毛抜』をお出しになった時に、お姫様をやらせていただいたんです。一緒に話していた時に、「寿海さんが亡くなったのだったら、自分のところに来ないか」と言っていただきました。これはありがたいことを言っていただいたと思いました。
 その一年後から、お世話になるようになりました。大阪から東京に来た時は喋り方に苦労しました。その頃、旦那は菊五郎劇団の中によく入っていたのですが、そうすると皆チャキチャキの江戸っ子なんです。私は全然標準語が話せなくて、何か外国に来たような感じでした。鳶とか江戸っ子の役、これはいくら直していただいても直らなくて、苦労をいたしました。

 襲名狂言では『加賀鳶』のお兼をさせていただきます。このような大役をいただいてとても嬉しいです。作者の河竹黙阿弥は、初代齊入のお父さん(四代目市川小團次)とお芝居を作った方ですから、凄く縁があるのかなと思いますし、いろいろな方のお兼を拝見していますが、先輩方の芸に近づけるように頑張りたいと思います。

 齊入になりましてからは、やっぱり年配の役を頑張りたいですね。お母さんの役、お婆さんの役、いろいろなやりたい役がございます。お婆さんというのは、苦労はたくさんありますけれども、やはり良い役が多いので、そういう役をどんどんやらせていただきたいと思います。