市川 團十郎白猿 (13代目) イチカワ ダンジュウロウハクエン

屋号
成田屋
定紋
三升
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼江戸歌舞伎の総本山といわれる市川團十郎家の総帥として、歌舞伎界をリードする役目を担いながら、家の芸を継承し、磨きをかけてゆく存在だ。容姿、声量にめぐまれ、スケールの大きさが『暫』などの荒事で特に魅力を発揮する。2000(平成12)年に新橋演舞場で戦後最年少の『助六』を勤めた時は、独特のオーラを放った。襲名披露などの「口上」で見せる團十郎家伝来の“にらみ”には、「気」がみなぎる。近年は、他分野と融合した「古典への誘い」を上演、その延長上の新演出による『源氏物語』が話題に。「ABKAI」、六本木歌舞伎など新路線では歌舞伎以外の人材とも交流。2007(平成19)年、史上初のパリ・オペラ座公演で、故十二代目團十郎と『勧進帳』の弁慶をダブルキャストで勤めた際、最後の引っ込みのやり方をめぐって父と激論、客席の通路を花道に見立てて六方を踏み、喝采を浴びた。世界を見据えた新時代の扉を開く。

〔本庄雅之〕

経歴

芸歴

▼1977年12月6日生まれ。十二代目市川團十郎の長男。83年5月歌舞伎座『源氏物語』の春宮で堀越孝俊の名で初お目見得。85年5月歌舞伎座『外郎売』の貴甘坊で七代目市川新之助を名のり初舞台。2004年5月歌舞伎座『暫』の鎌倉権五郎ほかで十一代目市川海老蔵を襲名。同年10月パリ国立シャイヨー宮劇場で襲名披露。22年11月歌舞伎座『勧進帳』ほかで十三代目市川團十郎白猿を襲名。

受賞

▼1995年『仮名屋小梅』の浜本清で眞山青果賞新人賞。95年9月歌舞伎座『鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精で、97年10月歌舞伎座『吉原雀』の鳥売りの男で松竹会長賞。2000年『勧進帳』の弁慶(1999年1月浅草公会堂)と『天守物語』の姫川図書之助(1999年3月歌舞伎座)で第七回読売演劇大賞杉村春子賞。同年度芸術選奨文部科学大臣新人賞。01年第二十二回松尾芸能賞新人賞。05年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。06年6月歌舞伎ロンドン公演『藤娘』『かさね』でローレンス・オリヴィエ賞「ベスト・ニュー・ダンス・プロダクション」部門にノミネート。07年フランス政府よりフランス芸術文化勲章シュヴァリエ章。14年映画『利休にたずねよ』主演で第三十七回日本アカデミー賞優秀主演男優賞。

著書・参考資料

▼写真集(操上和美撮影)『SHINNOSUKE』(2003年、ワニブックス)、写真集『市川海老蔵 十一代目襲名記念写真集』(04年、淡交社)、ムック(篠山紀信撮影)『市川海老蔵 成田屋の粋と艶』(10年、小学館)、著書『神さまからのお福分け 海老蔵 縁起物図鑑』(13年、講談社)、語り(藤尾秀昭文、片岡鶴太郎画)『オーディオブック 心に響く小さな5つの物語』(14年、致知出版社)

舞台写真

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