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初代坂東楽善 九代目坂東彦三郎 三代目坂東亀蔵 襲名、六代目坂東亀三郎 初舞台~團菊祭五月大歌舞伎


 歌舞伎座の5月といえば、九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎を讃える恒例の「 團菊祭五月大歌舞伎」。今回は、七世尾上梅幸二十三回忌、十七世市村羽左衛門十七回忌追善興行として行われます。また、十七世市村羽左衛門の長男である坂東彦三郎が初代坂東楽善(らくぜん)、彦三郎の長男・坂東亀三郎が九代目坂東彦三郎、次男・坂東亀寿が三代目坂東亀蔵をそれぞれ襲名。併せて、亀三郎の長男・坂東侑汰が六代目坂東亀三郎として初舞台を勤めます。1月24日(火)都内にて追善興行と襲名の記者発表が行われ、出演者が公演に向けての思いを語りました。

【坂東彦三郎】
 初代坂東楽善を襲名させていただくことになりました。この楽善という名前は、何か楽しいような名前でありますので、私も楽しく舞台を勤めていきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 父から八代目を継いだ時は、彦三郎という名前は江戸時代からずっと続いていますし、やはり立派な名前でありますので、継ぐからには心掛けをちゃんとして継がなければいけないと言われました。ちょっと気持ちが浮ついたりなんかしている時には「バカヤロー」なんて怒鳴られて、「彦三郎って名前を取っちゃうぞ」と言われたこともございます。自分としては、ちゃんとした役者として成長するという気持ちでやっておりました。
 襲名狂言の『梶原平三誉石切』は、まだ若い時に東横劇場で父に教わり、十五代目(市村羽左衛門)さんの形でやった狂言でございます。まだ二十歳になるかならないかの時でございましたが、やっているうちに、あそこはこうだということがわかってお芝居を勤めたという思い出がございます。『壽曽我対面』では、朝比奈をやらせていただきます。菊五郎劇団でもよく出ておりますので、いろいろな役が全部わかっておりますので、今度の場合にはいろいろ言いながらやっていきたいと思います。


【坂東亀三郎】
 この度、5月團菊祭におきまして、九代目として坂東彦三郎を襲名させていただくことになりました。襲名狂言は、父と相談して、祖父の追善でもあるということで、父が祖父から教わってとても大事にしている演目を選ぼうということになりました。『石切』と『対面』、この二つの演目は、祖父の思い、父の思い、私のやりたいという気持ちの三つが一つになった演目だと思います。
 歌舞伎俳優の家系に生まれて、父の名を継ぐというのは一つのノルマで、クリアしなければいけない部分だと思っていました。このお話をいただいた時には、いろいろな感情が湧きました。嬉しさもあれば驚きもありましたし、悩むこともありましたが、一つクリアを出来て、さらに挑戦をしなければいけないのだなと強く思いました。
 私の世代は素晴らしい俳優さん達が大勢いらして、舞台の上で戦っていくのは大変なことですが、これからは、父に教わってきたことをもっと体現していく、表現していかなくてはいけないなと思っています。
 歴史は繰り返す、ではないですけれども、歌舞伎は繰り返すことが多いです。音羽屋のお兄さん(菊五郎)や父の世代と、その倅の私達の世代とが繋がっていっているので、父の世代のように皆でガッチリと組んで芝居をしていきたいなと思っております。


【坂東亀寿】
 5月の團菊祭で三代目坂東亀蔵を襲名させていただきます。本当にいろいろな方のお力で襲名をさせていただくことになり、感謝の気持ちでいっぱいでございます。その感謝の気持ちをパワーに変えて、少しでも良い舞台を勤めることが皆様へのご恩報じになることだと思っております。
 『石切』の俣野五郎は初役ですので、しっかりと稽古して勤めたいと思っております。夜の部の最後の『弥生の花浅草祭』ですが、今から三年ほど前に尾上松緑さんと『三社祭』を踊ったときに「是非、今度は『浅草祭』を!」と言われていて、松緑さんの方からこの襲名でやろうと言っていただきました。
 今名のっている亀寿という名前は初代で、祖父がつけてくれた名前です。誰かが前に名のっている名跡を継ぐということは初めてですので、何か不思議な感じがしております。襲名をしても基本的にはやることは変わらないと思うので、舞台の上でしたことをお客様に観ていただいて、感じていただければ良いなと思います。



尾上菊五郎
 子役の頃から70年も付き合ってきた彦三郎さんが、何か中華料理のお品書きみたいな名前になっちゃうというので・・・「えっ薬膳だぁ、薬膳はねぇだろう」と言ったら、楽善だったということで良かったです。それでもちょっと寂しい思いもしておりましたが、ちゃんと倅達が彦三郎と亀蔵という立派な名前を継いでくれますので、こんな嬉しいことはありません。侑汰君も初舞台です。
 菊五郎劇団としても、皆で応援していこうと思っていたところに、父(七世尾上梅幸)の二十三回忌、また坂東のおじ(十七世市村羽左衛門)の十七回忌の追善ということで、ありがたく受けさせていただき、5月の團菊祭を二人の追善興行にしていただくことになりました。
 なんと申しましてもそれは二の次でございまして、まずこの襲名の三人と初舞台の一人、皆様のお力添えで5月の團菊祭が華々しく幕が開きますよう、どうぞよろしくお願いいたします。


市村萬次郎
 父である十七代目市村羽左衛門の追善ということで、うちの父はもともと坂東彦三郎を継いでおりましたので、坂東系の名前、特に彦三郎の名前を凄く大事に思っていたことと存じます。それがこの度、ちょうど十七回忌に、兄である坂東家の一家が揃って襲名・初舞台ができるということは、一番の追善になるのではないか。本当に喜んでいるように思います。


六代目坂東亀三郎を襲名し、初舞台を披露する坂東侑汰くんは「坂東亀三郎になります。どうぞよろしくお願いいたします」と元気に挨拶しました。