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菊之助、梅枝が意気込み~国立劇場7月歌舞伎鑑賞教室『義経千本桜』


 7月3日~24日、国立劇場では 歌舞伎鑑賞教室『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』が上演されます。
 公演に先立ち記者会見が行われ、渡海屋銀平実ハ新中納言知盛役の尾上菊之助、銀平女房お柳実ハ典侍の局役の中村梅枝が意気込みを披露しました。

【尾上菊之助】
 三大名作義太夫狂言の一つ『義経千本桜』の渡海屋・大物浦で知盛を勤めます。この狂言の魅力は“滅んでいく人々の悲劇性”です。安徳帝を御男宮として偽った為に、天罰が平家一門に報い、その天罰を全身に受け、碇を体に巻きつけて海中に沈んでいく知盛の壮絶な最期というのは、いつの時代も観客の心に深く刻まれます。
 千本桜というと、父(七代目尾上菊五郎)が権太や四の切忠信を勤めてきましたので、私もその二役を中心に観て参りました。いつかは演じてみたいと心の中で思っていた知盛を、播磨屋の岳父(二代目中村吉右衛門)の監修で勤める機会をこうしていただき幸せに感じています。

 最初に銀平で出てきた時の颯爽とした感じ、そして舟問屋の亭主としての大きさ、知盛になって鎧を着てから戦に行くぞという勇気、もし負けたらと切々と述べる冷静沈着さも必要です。手負いになってからの壮絶さ、義経に対する執念、最後の悲哀。刻々と、その局面で求められていることが変わっていくところに、役の面白さ難しさがあると感じています。ただ、その技術だけに走ってしまうと『義経千本桜』という太い幹が細くなってしまうので、あくまでもそれを根底に流しつつ、大きな役を豪快に演じることが目標です。

 父の芸を受け継ぐ、そして播磨屋の岳父の芸を受け継ぎたいという強い気持ちがあります。どれだけできるかわかりませんが、とにかく教えを乞い、時代物の中でもクッキリとした立役がどれくらい出来るか、ということが今回の挑戦でもあり自分への課題です。自分にとって、意表に大きな変革となる舞台になるのではないかと感じていて、全身全霊を持って挑んでいきたいと思っています。


【中村梅枝】
 女方の中でも大役中の大役「典侍の局(すけのつぼね)」を勤めさせていただくことになりました。父(五代目中村時蔵)も勤めておりませんし、お話をいただいた時には、私で出来るかなという不安も感じましたが、挑戦する気持ちで真摯に取り組み、菊之助のお兄様と一緒に良い舞台を創り上げることが出来ればと思っております。

 今回は玉三郎のおじ様に教えていただきます。いずれはやりたいなとは思っていましたが、これほど早く典侍の局をさせていただけるとは思っておりませんでした。これだけ若い歳で典侍の局をさせていただけるというのはとても貴重なことです。『伽羅先代萩』の政岡のような“片はずし”といわれる役柄とも全く違う大きさや格が求められるお役です。それに精一杯応えられるように頑張りたいと思っています。

 歌舞伎を初めて観ても、言葉がわからないなどの理由で、出だしで躓いてしまう方も多いと思います。そうならないように、できれば事前にある程度のおおまかなストーリーを読んでおいていただくのも、良い方法かと思います。そうして劇場に来ていただければ、必ず感動できると思っています。