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菊五郎、吉右衛門が思いを語りました
~国立劇場開場50周年記念11月歌舞伎公演『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』【第二部】
国立劇場11月歌舞伎公演は『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』第二部の上演です。
10月から3ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』の全段・全場面を上演する話題の公演。第二部では、尾上菊五郎、中村吉右衛門がそれぞれの当たり役、五・六段目の早野勘平、七段目の大星由良之助を勤めます。また、普段は大喜利所作事として取り上げられることの多い「道行旅路の花聟」が幕開きで上演され、勘平・おかるの悲劇の序章という違った印象で観られるのも楽しみの一つとなっています。
公演に先立ち記者会見が行われ、菊五郎、吉右衛門が思いを語りました。
【尾上菊五郎】
五・六段目の勘平は、何度やっても難しい役です。初心に返って新しい気持ちでまた勤めさせていただきたいと思います。
六段目の勘平は、おっかさんが騒ぎ出していたら、その、おっかさんまでも殺してしまい、それでも“忠臣”にお供願いたい、それほど追い詰められていたのだと思います。まず、五段目を様式美で綺麗に見せた後、おそらく千崎にお金を渡して意気揚々と帰ってきた六段目で、悲劇が“ガー”っと始まって・・・そういうところを細かく見せられればいいなと思います。
初めて国立劇場に出演させていただいたのは昭和43年6月『摂州合邦辻』の浅香姫でした。通しで弁天小僧を勤めさせていただいたこと(『青砥稿花紅彩画』昭和46年3月、昭和59年3月)も印象深く覚えています。最近では、お正月に色々古い狂言を復活し上演していますが、それが時々他の劇場でも上演されるようになり、これも意義のある事ではないかなと思っています。私も様々な通し狂言に出演させていただきながら、この劇場に育てていただいたと感じています。
今回は3ヶ月にわたる全段通しでの上演ですから、皆が“忠臣”という気持ちを途絶えさせずに12月まで持って行ければと思っています。
【中村吉右衛門】
50周年という記念の通し狂言に出演させていただき光栄に思っております。私も吉右衛門を襲名して50年ということもあり、縁を感じています。
七段目の大星由良之助は本当に難しいお役です。初代吉右衛門は、力弥に花道に会いに行く間に、小唄を唄ったという、そういう余裕と色気があり、そして武士の魂を失わないという、三つ巴の難しい役ですが、なんとか実父(初代松本白鸚)や先人たちを思い出しながら勤めたいと思っております。
国立劇場が開場した昭和41年、12月『菅原伝授手習鑑』に出演させていただいて以来、諸先輩方と舞台の上でご一緒させていただいて、いろいろ勉強させていただきました。郡司正勝先生を筆頭に、監修の先生方から注意をよくされていた事も印象深く覚えています。
新派で出演していた時に、劇場脇にあった「とんぼ道場」で、とんぼの稽古をしていて足をくじいてしまい・・・舞台で靴を履かなくてはならないのですが、腫上がってしまい往生した想い出もございます。
【歌舞伎演目案内】:仮名手本忠臣蔵
※この案内は、実際の公演の内容、配役とは異なります。

