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吉右衛門、又五郎、歌昇が公文協【中央コース】【西コース】への思いを語りました


平成25年度(公社)全国公立文化施設協会主催【 中央コース(7月1日~30日)】、【 西コース(8月31日~9月25日)】では「松竹大歌舞伎 中村歌昇改め三代目中村又五郎襲名披露 中村種太郎改め四代目中村歌昇襲名披露」を上演します。演目は、【中央コース】は『番町皿屋敷』『襲名披露口上』『連獅子』、【西コース】は『沼津』『襲名披露口上』『連獅子』のそれぞれ3演目。上演に先立ち、中村吉右衛門中村又五郎中村歌昇が公演への思いを語りました。

【中村吉右衛門】
中央コース『番町皿屋敷』の青山播磨は、しばらく勤めておりませんでした。お話をいただいたとき、「うーんこの歳で・・・」と一瞬ためらいもしましたが、「いや、負けてはいられない」、播磨のような若さ、純粋さを舞台の上で取り戻して、これからの役者人生でも、その純粋さというものを持ち続けていきたいと思っています。清々しい若さというものの良い面を、皆さんに再確認していただけたらなと考えています。

西コースの『沼津』は長い敵討ちの物語(伊賀越道中双六)の外伝、関係はあるのですがちょっと外れた話です。生き別れになった父と子の愛情物語、それにちょっと仇討ちというものがからんだ庶民の話、親子の感情を表したお芝居で、私も大好きです。父親と言ってはならない、しかし最後に「お父さん」と言ってしまう・・・清々しい涙を、ご覧になって流していただけると有難いなと思っております。

私毎ですが、毎年秋に文化庁の「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」で、小学校を巡り歌舞伎を体験していただくという活動を行なわせていただいております。この巡業でうかがった先でも、その時小学生だった方が、中学生・高校生になってお芝居を観に来て下さるかもしれない、それをとても楽しみにしています。白髪頭の私が、青山播磨や『沼津』の十兵衛という、若々しい役を演じる歌舞伎って面白いなと思っていただけたら嬉しいですし、お客様の心に残るような、皆様を元気づける事のできるお芝居をしたいと思っております。

【中村又五郎】
西コース、中央コースの巡業で、襲名披露という形で倅の歌昇と一緒に『連獅子』を勤めさせていただきます。倅が役者を志すようになって、いつかは一緒に『連獅子』を踊りたいと思っており、それが今回叶いとても嬉しく思います。前半では、親獅子が仔獅子を千尋の谷に落とし、這い上がってくる息子を見守る親の心の広さというものを見ていただきたいですし、後半の毛振りは、豪快にかつ品良く、勇ましく勤めて、お客様に気持ちよく劇場を後にしていただきたいと思っています。

襲名は関係者の皆様、また吉右衛門のお兄様をはじめとする諸先輩方のお力添えがあってできるものです。一昨年より襲名公演を続け、先輩方に教えていただいたことを守っていかなくてはいけないという気持ちも、さらに強くなって参りました。今回巡業で様々な場所にうかがわせていただき、又五郎という名前をより多くの皆様に知っていただきたいと思っております。

【中村歌昇】
この度、襲名披露で『連獅子』の仔獅子という大役を勤めさせていただくことになりました。襲名は色々な方のご協力があっての事と毎日感謝しながら演じており、また、皆さんから受けた感謝を、いかに舞台で返すことができるかがこの襲名期間中、ずっと自分の課題でもあります。

そのためにも一所懸命勉強して、お芝居を見て、諸先輩方から教わって、様々なことを吸収していきたいと思っています。巡業では、普段歌舞伎をご覧になる機会の少ない都市にもお伺いします。大勢の皆さんに歌舞伎を観ていただきたいという気持ちで一杯です。