Home > トピックス一覧 > 田中傳左衛門、田中傳次郎が語る「第八回 三響會 -十五周年記念公演-」

トピックス

田中傳左衛門、田中傳次郎が語る「第八回 三響會 -十五周年記念公演-」


 10月27日(土)新橋演舞場で 「第八回 三響會 -十五周年記念公演-」が開催されます。
 亀井広忠・田中傳左衛門・田中傳次郎が主催する「三響會」は今年で十五周年、東京・新橋演舞場では5年ぶりの開催です。公演に先立ち、田中傳左衛門、田中傳次郎が舞台への思いを語りました。

 

――今回の公演・演目について
【田中傳次郎】
 最初は「一調一管による三響會の歩み」、我々の本当の原点である"演奏"で開幕します。一つ目の『延年之舞』は京都南座の公演で、兄の亀井広忠が中村富十郎さんと観世清和さんと勤めさせていただきました。続く『獅子』は『石橋』として初めての新橋演舞場公演で"能と歌舞伎のコラボレーション"として演奏させていただきました。『船弁慶』は第二回銀座博品館劇場で藤間勘十郎さんとご一緒した演目です。十五周年で原点に戻るという意味も込めての演奏です。ぜひじっくり聴いていただきたいと思っています。
 梅若紀彰さん、観世喜正さんによる『小袖曾我』の舞囃子の後、中村鷹之資さんの『供奴』と観世銕之亟さんの『天鼓』を上演いたします。今年は先代の観世銕之亟さんの十三回忌、鷹之資さんのお父様の富十郎さんが亡くなって一年にあたり、お二人とも我々の会をとても理解してくださった大先輩です。とくに先代の観世銕之亟さんは我々兄弟の最初の師匠でもあり、お二人を偲んで勤めたいと思っています。
 最後は『囃子による三番叟』です。「第一回三響會」の最初の演目が野村萬斎さんと私達三兄弟による『三番叟』でしたから、十五周年ではぜひ第一回目に披露した演目を出したいと考えました。市川猿之助さんと我々兄弟、そして傳左衛門社中一門も大勢出演する派手な舞台にしたいと思っています。


――15年の活動を振り返って
【田中傳左衛門】
 「三響會」は我々兄弟がそれぞれの世界をもう一度きちんと勉強しようという目的で立ち上げたものです。こうして活動を続けてきて、それぞれがそれぞれのジャンルの良いところや違いを改めて認識し合えたと感じています。そして私達も、得てきたものを後世に伝えていくという繋ぎの役割を果たす世代にさしかかってきましたから、おのずと「三響會」もそうした場になりつつあると感じています。
 神谷町さん(七世中村芝翫)や天王寺屋さん(五世中村富十郎)など多くの先輩方に、私達も可愛がっていただいてきましたが、それは「後世に繋げてくれよ」という先輩方からのメッセージでもあったのだと思います。今回、鷹之資さんが『供奴』を勤められるので、ぜひ「天王寺屋さんはこうだったよ」という話を伝えたいと思っています。
 東京での「三響會」の開催は2009年9月の増上寺での公演以来です。15年は本当にあっという間でした。単純に歌舞伎の公演を毎月やっているだけでは中々芽も出ません。こうして15年、同世代の仲間達と闘いながらスキルを上げてきたことで、それぞれが上達し、本興行でも認めていただけるようになった、それも「三響會」の大きな成果の一つだと思っています。

【田中傳次郎】
 15年「三響會」を続けてきたことで、本当にいろいろ考えることが出来ました。自分達で今やってみたいことを考えることで、様々な創造が生まれて、美術・照明などにも発展し、いわゆるお囃子の演奏家が行う会とはかなり異なったものになってきましたし。
 そしてなにより嬉しいのは、同世代の役者さんが15年前から変わらぬお付き合いをしてくださることです。市川猿之助さん、市川染五郎さん・・・大勢の俳優の皆さんが協力し続けてくださいます。今では皆さん座頭をするほどのスター役者になっていて、私達もその公演に協力させていただいていますが、こうして一緒に話し合って舞台を創ってきたからこそ、歌舞伎の興行でも深くディスカッションができ、さらに良い舞台創りができているのではないかと感じています。