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歌昇、種之助が第四回「双蝶会」を開催

 
 今回で4回目を数える、中村歌昇中村種之助兄弟の勉強会「 双蝶会」が、8月4日(土)・5日(日)に国立劇場小劇場で開催されます。6月8日(金)に都内にて取材会が行われ、歌昇と種之助が意気込みを語りました。

【中村歌昇】
 「双蝶会」も今年で第4回を迎えることになりました。これも偏に皆様方のおかげだと思っております。今年は常磐津舞踊の大曲と言われる『積恋雪関扉』の関兵衛を、そして弟の『四の切』(『義経千本桜』川連法眼館の場)では義経を勤めさせていただきます。毎年暑い時期にやりますが、今年もさらに熱い舞台を二人で協力し合って、スタッフ全員一丸となって創っていきたいと思います。

 立役の先輩方が皆さん揃って、『関の扉』の関兵衛が体力的に一番大変だとおっしゃいます。それだけ凄く大きなお役だと思います。『関の扉』の世界観、常磐津舞踊のいかにも歌舞伎らしい踊りが好きなんだなと再認識しました。
 今回はいつもの振りとは違い、藤間の(勘祖・勘十郎)ご宗家に教わります。中村吉右衛門のおじ様も、今の藤間勘祖先生と「藤間会」で踊られています。セリフも吉右衛門のおじ様に教えていただきます。
 中村児太郎さんに小町墨染をお願いしたのは、やはり成駒屋の家の芸でもありますし、以前から二人で話していたので、同世代にお願いするなら児太郎さんしかいないと思いました。すぐ快諾してくださいました。
 『関の扉』は1時間半の踊りで、歌舞伎の楽しいエッセンスがこれでもかと詰まっている作品だと思います。後半は立廻りが多くなったり、いろいろな要素が詰め込まれています。そういうところが凄く好きなところです。

 『四の切』の義経は10年ほど前に国立劇場の鑑賞教室でやっていますが、どこまでいっても凄く難しいお役だと思います。やはり御大将の品格というものは簡単に出せるものではありません。この義経は疑い深いというか、気持ちの起伏が大きいと思います。そういう部分をあくまで義経として演じられればいいかなと思います。

 いつも準備とかは実質、弟がやってくれるので、そこがいつも申し訳なさと感謝しかありません。お稽古に入ってからは、自分たち二人の為に労力を割いてくださる、力を貸してくださることへの感謝は、何回やっても変わらないと思います。



【中村種之助】
 4回も続けさせていただけるのは、教えてくださる先輩方をはじめ皆様方のご協力のおかげと感謝しております。勉強会は自主公演で、自分たちがやりたいから開催している、言ってしまえばそういうものですけれども、それにもかかわらず毎年協力してくださる方々に本当に深く感謝しております。もちろん役を勉強することの大変さはありますが、会を開催するということの大変さなど、改めて勉強することもたくさんあります。小さなことからコツコツと積み上げて、未来の自分たちに価値のある公演になるように、微力を尽くして「双蝶会」を迎えられれば良いかなと思います。

 演目を決める時は今までもそうでしたが、何よりも自分達がやりたい役、勉強できる役、これから先もやりたい役、その中で『四の切』はいつも候補に挙がっていました。父(中村又五郎)に教わります。
 狐忠信の出から、本性を明かすところが大事かなと思っています。音羽屋型としてはケレンが多いわけではないので、心の部分、やはりそこの重点を置いて、親子の情といいますか、全体を見たらそういうところが大切なのかなと思います。
 『関の扉』の宗貞は難しいと思います。小町とのくだりはありますが、踊りの部分は手踊りしかありません。宗貞に関しては、“役をつかむ”ということが一番大事な部分かなと思います。宗貞らしさ、言葉ではうまく言い表せない部分ですが。

 「双蝶会」は僕らがやりたいからやらせていただいているに過ぎないわけですから、それに対して協力してくださる、教えてくださる先輩方であったり、スタッフの皆さんであったり、そういう方たちとの繋がりに本当に感謝ですね。