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染五郎、勘九郎、七之助が意気込みを披露~歌舞伎NEXT『阿弖流為』


 7月、新橋演舞場では、歌舞伎NEXT『阿弖流為(アテルイ)』が上演されます。
 2002年、市川染五郎と劇団☆新感線とのコラボ企画「Inouekabuki Shochiku-mix」の第2弾として上演された『アテルイ』が、13年の時を経てついに歌舞伎化!タイトルも新たに『阿弖流為』となり、新橋演舞場に甦ります。
 公演に先駆け製作発表が行われ、市川染五郎、中村勘九郎中村七之助に加え、脚本・中島かずき、演出・いのうえひでのりが意気込みを語りました。

【中島かずき(脚本)】
 いつか自分たちの作品が歌舞伎になればと思っておりました。その願いが叶い、最高のキャストの皆さんと一緒にやれますこと、本当に作家冥利に尽きると思います。
 脚本も歌舞伎バージョンに書き直しています。以前の本では、坂上田村麻呂がアテルイよりも年上に設定されていましたが、勘九郎さんが演じられることもあり、アテルイよりも若くしています。若いがゆえの過ちなど、彼自身のドラマも随分増えています。また、立烏帽子と鈴鹿の二役を七之助さんに演じていただき、こちらも新しい見どころとなっています。
 一層ドラマチックになっているので、仕上がりが今から楽しみです。一度歌舞伎として公演していただける限りは、何度も再演されるような作品になればいいなと願っております。


【いのうえひでのり(演出)】
 2002年の『アテルイ』を市川猿翁さんがご覧になって「これはギャグを抜けば、そのまま歌舞伎になるよ」とおっしゃってくださいました。それは当時、歌舞伎はどうやって作るのか、ずっと集中して考えていた時期でしたので、凄く心強いお言葉でした。染五郎さんの強い思い、勘九郎さん、七之助さんが出演されて、こうして新しい形の歌舞伎になるというのは、いろいろな意味で嬉しいし、わくわくします。
 両花道など、歌舞伎ならではの様々な手法の見せ方などを出来るだけ折り込んで、ああこれはあの歌舞伎のこの場面からのオマージュだね、と感じるようなところも出てくるのではないかと思います。楽しみにしてください。



【市川染五郎】
 13年前演じた『アテルイ』が歌舞伎NEXTと銘打ち、新しく誕生します。そのスタートが今日です。「あの日が歌舞伎NEXTのスタートだった」と思われるような作品を目指しています。
 歌舞伎の引き出しを沢山いのうえさんにお渡しして、今までになかった演劇を創っていただいています。ただ、新しいこと、やったことのないことを探すのではなく、400年以上の歌舞伎の歴史を全て紐解いて・・・昔、軽業師という立廻りの専門職のあった時代もありました。そういうところでやっていたテクニックなども含めて掘り起こし、それを料理していただきたいと思っています。
 今回のキーワードは“混ぜる”です。この歌舞伎NEXT『阿弖流為』では、それらを混ぜ合わせて新しいものが生まれ、化学反応を起こすことを目指していきたいと思っています。

 阿弖流為の魅力は、ブレないところ。「ここにいるために戦う」・・・そんなセリフがありますが、自分がここにいる、生きている為に何をするかということをわかっている人物。そして凄く孤独な男です。13年前は広くは知られていなかった人物が、今では「あのアテルイ」と、何か一つのブランドになっているというのも感慨深いです。きっと凄い作品になるという確信がありますし、13年前より自分も若いんじゃないか、もっと格好良いんじゃないかと言われることをよく妄想しています(笑)。ぜひ、皆さんに歴史の1ページの生き証人となっていただきたいと思っています。



【中村勘九郎】
 今の気持ちは“嬉しい”の一言です。私は劇団☆新感線が大好きで、いつか出演したいと思っていたのですが、歌舞伎になったバージョンの『阿弖流為』で参加させていただける・・・感無量です。
 初演の『アテルイ』での染五郎さんはとにかく格好良かった。その格好良い阿弖流為の染五郎さんと、日々戦えることを誇りに思い一生懸命勤めます。

 田村麻呂は、一本気で情に厚く、男の中の男です。初演の時より若い設定ですが、その若さゆえに起こるドラマがところどころに出てきます。悲しみや抗いなど、等身大の田村麻呂になっているのではないかなと思います。
 400年の歌舞伎の歴史を紐解いて、詰まっている宝物や知識を、自分たちで表現する。そのために少しでも力になれたら、という気持ちでいます。



【中村七之助】
 兄は“嬉しい”と言っておりましたが、私は“怖さ”でいっぱいです。劇団☆新感線の舞台を見ながら、染五郎のお兄様は、こんな凄い人達の中でよく芝居ができるなと尊敬していました。その舞台が歌舞伎になり、しかも出演させていただけるというのは、本当に夢のようです。「歌舞伎に直さなくても良かったのでは?」と、お客様に思われないように一生懸命勤めたいと思います。

 二役をやるということはプレッシャーです。前回、素晴らしい女優さん一人一人が演じられた立烏帽子と鈴鹿の二役を演じるという意味を、しっかりと持ちながら勤めたいと思います。
 今回の作品は「歌舞伎NEXT」です。これまで様々な先輩方がやられてきたことを受け継ぎ、自分の中でも考え、歌舞伎というものの可能性をどんどん広げられたらと思っています。