吉右衛門、東蔵、歌六、雀右衛門、又五郎が意気込みを披露~国立劇場11月歌舞伎公演『孤高勇士嬢景清-日向嶋-』

2019.09.10 発表・会見

 国立劇場の11月歌舞伎公演は『 通し狂言 孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)-日向嶋-』の上演です。公演に先立ち取材会が行われ、出演者が舞台への思いを語りました。

中村吉右衛門
養父の初代中村吉右衛門が上演を望み、実父の八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)が上演を重ねた『嬢景清八嶋日記』を、もう一歩進めることができたらという思いで、この度は“通し狂言”で『孤高勇士嬢景清』として上演いたします。景清を調べると、とても人気のあった武将だったようで、歌舞伎でもお馴染みの遊女・阿古屋も入れ込んだほど。武勇に優れ、逸話も多い人物ですが、今回の通し狂言で、よりわかりやすい景清像を描き出したいと思います。
テーマは執着心です。景清はそういうものをずっと抱えていた人で、その執着心を払うため自分の眼を失いますが、それでも捨てられず、娘の愛によってようやく消えていきます。執着心を捨てると、パっと世の中が変わったというような事は、どなたにもあることではないでしょうか。あまり難しくお考えにならず、「あぁ、自分にもこんなところがあるな」「娘っていうのはかわいいもんだな」、そういう風に舞台を観ていただければありがたいなと思っております。

中村東蔵
国立劇場では播磨屋さんとご一緒して、珍しい狂言を上演させていただいております。今年の『孤高勇士嬢景清』は、チラシを見ていても、ワクワクとした気持ちになって参ります。
今回は、奉公人を無駄なく働かせるお女郎宿・花菱屋の女房おくまを勤めます。歌六さん演じるご主人を尻に敷いて、そのぼーっとした旦那さんとのコントラストを際立たせることが、一番大切ではないかと思っています。

中村歌六
御大将の源頼朝と、女郎屋の旦那・花菱屋長の二役を勤めます。
花菱屋長は、東蔵兄さん演じる女房のお尻に敷かれ、のんきにしているおやじさんですが、最後は親子の情にほだされ、はじめて奥さんに抵抗して娘のために一肌脱ぐ・・・そういう男気を見せられればいいなと思っております。
頼朝では立派な御大将ぶりを出していきたいと思っています。

中村雀右衛門
父(四代目中村雀右衛門)が昭和34年に先代の白鸚のおじ様で演じた糸滝を、播磨屋のお兄様で勤めることができ、大変幸せなことです。
当時父は39歳で、私はそれよりもちょこっとだけ年齢があがっておりますが(笑)、設定では糸滝は14歳ですので、かわいらしい、けなげな心の娘を精一杯勤めたいと思います。

中村又五郎
左治太夫は今回で3回目になります。
糸滝の心を思い日向嶋まで連れいきますが、そこで会った娘の父の心を感じて嘘をついて娘を連れて帰る・・・その時々の心根が出るように、初心に返って一から勉強をして、左治太夫という役に少しでも近づけるように勤めたいと思います。