鴈治郎、壱太郎、虎之介が意気込みを披露~国立劇場 6月歌舞伎鑑賞教室

2019.05.09 発表・会見

 国立劇場 6月歌舞伎鑑賞教室の上演に先立ち記者会見が行われ、中村鴈治郎中村壱太郎中村虎之介が意気込みを披露しました。

【中村鴈治郎】
 『神霊矢口渡』で渡し守頓兵衛を勤めます。曾祖父の初代鴈治郎も勤めたお役ですし、今回、息子の壱太郎が勤めます娘お舟は、祖父の二代目中村鴈治郎、父の坂田藤十郎も勤めており、縁を感じております。
 父は「頓兵衛は“おかしみ”がなければ駄目」といいます。強突張りで、名誉より金という男が、欲を絡めたことでおっちょこちょいな事をしてしまい・・・心は急いても足は付いてこないことで、見せ場の「蜘蛛手蛸足(くもでたこあし)」の形ができたと思うので、観ているお客様に納得していいただけて、それがおかしみに繋がればよいなと思っています。

 「歌舞伎のみかた」では、歌舞伎の基本を知っていただくことも必要ですが、まずはこの『神霊矢口渡』を観ていただくときに、楽しんで興味を持っていただくのが大切です。見どころも含めて、もしかしたらネタバレになってしまうかもしれない、そういう方向のものを創ってみたいと思います。
 「Discover KABUKI」は、外国の皆さんに歌舞伎を観ていただく良いチャンスになると思います。来年は東京オリンピック・パラリンピックということで、どうしたら外国の方に楽しんでいただけるかを、体験できるのは、私にとっても大変有意義だと思っています。



【中村壱太郎】
 お舟は学生のころから「演じてみたい」と言い続け、いつかは実現すると信じてここまで来て、こうして形になったことが、まずとても嬉しく、そして父と共に出来るのも大変嬉しく思っております。さらに虎之介くんが新田義峰で出てくれて、こうして成駒屋一門でできる歌舞伎で“結束力”というものも皆様に観ていただければと思っています。

 お舟は、初々しさが一番大切です。親への孝行を思いつつも、やはり好きな人の為に行動するという“心の揺れ”を意識して、しっかりお客様に伝わるようにしたいなと思っています。
 祖父が市川猿翁のおじ様と演じたとき(昭和49年[1974]3月明治座)の映像を、今の市川猿之助さんが持っていらして、それを観たときに「これは人形振りが復活できる」と思い立ち、今回挑戦させていただきます。一つ一つの公演を大切に、お舟を自分のものにできたらいいなと、思っております。



【中村虎之介】
 歌舞伎鑑賞教室は3回目の出演です。今年、こんぴら歌舞伎(4月金丸座)に出演していて、新しい衣裳さんが高校生のころ、私の歌舞伎鑑賞教室を観てくださったと聞いて、ちょっとびっくりしました。私のまわりでも歌舞伎の想い出というと「歌舞伎鑑賞教室」というかたが多く、“また観たい”と思わせるような鑑賞教室にしなくてはいけないと思っております。

 『神霊矢口渡』では新田義峰を勤めます。義峰の持つ二枚目の色気というのは貫禄が付いてこないと出ないものだと感じてはいるのですが、自分の歳でも出来ることがあるので、それをしっかりやりたいと思っています。ゆくゆくは壱太郎さんと立役としてちゃんと張り合えるような役者になることが、成駒屋を守っていく者の使命であり、この共演を通じて経験を積み上げていければと思っています。