歌舞伎に女優がいた時代

小谷野敦/著 中央公論新社(中公新書ラクレ680)
新書版 本文224p
2020年3月9日発行 定価¥968(税込)

女形のかわりではない
女優ゆえの苦悩と葛藤

出雲の阿国が始祖だといわれつつも男が演じるものとされてきたのが歌舞伎である。だが実際には歌舞伎には女の役者がいた時代がある。江戸時代に大名屋敷などで演じていた「お狂言師」、明治時代に大衆的人気をほこった「女團洲」こと市川九女八ら、女歌舞伎役者たちなどがそうである。「女形のかわりではない女優」たちゆえの苦悩や葛藤、そして彼女らの演劇史への功績を、歌舞伎役者の家に生まれた女優たちともからめて描く。