芝翫、橋之助が成功祈願~10月国立劇場『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺』

2019.08.07 発表・会見

10月、国立劇場では、『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』が上演されます。
公演に先立ち、中村芝翫中村橋之助が作者・四世鶴屋南北の菩提寺・春慶寺を訪れ、公演の成功を祈願し意気込みを披露しました。

【中村芝翫】
昨年に続き10月に国立劇場に出演します。10月は芝翫を襲名して3年、10日は父の祥月命日という特別な月です。初舞台を踏んだ国立劇場で、憧れの(二代目尾上)松緑のおじ様、(初代尾上)辰之助(三代目松緑)の兄が演じた『天竺徳兵衛韓噺』を、そして没後190年を迎える四世鶴屋南北の作品に初役で挑戦できることを嬉しく思っています。
以前父(七代目中村芝翫)に、南北の台詞を七五調に直し、怒られたことがあります。独特の“字余り”が不思議な空間を創り出し、奥深い人間性、時代背景が人の心に入り込んできます。そんな“人間のスペクタクル”をお楽しみいただきたいと思います。

天竺徳兵衛は茶髪で格好も前衛的で魅力ある人物です。実は、橋之助と福之助の初舞台を記念した扇子を、宇宙飛行士の毛利衛さんに描いていただいた事があるのですが、「宇宙を見ている人は違うな・・・」と驚くような魅力を感じます。徳兵衛もあの時代に遠い異国を見てきた人ですので、毛利さんのような素敵な雰囲気が出せたらなと思っています。
東蔵のおじ様、又五郎さん、彌十郎さんをはじめとする配役も見応えがあり、大蝦蟇が出現しての屋体崩し、水中六方、本水を用いた早替りなど見逃せない場面の連続ですので、歌舞伎を初めてご覧になる方にもお勧めです。来年の東京オリンピック・パラリンピックにむけて、海外の方に日本の伝統芸能を知っていただくきっかけになればと思います。



【中村橋之助】
本日の成功祈願で、公演の無事と、佐々木桂之介を通して少しでも成長できるように頑張ると報告をしました。また、こうした素晴らしい座組の中で役者として多くの引き出しが作れるように一所懸命勤めるという決意もいたしました。

今回のお役は前髪姿の綺麗なお役です。父(芝翫)からは「他の人とは違う時間が、その人の周りには流れている、そんな雰囲気があるといい」と言われています。自分の周りにキラキラと輝く“シャボン玉”がたくさんあるような雰囲気を創り出したいと思っています。