Home > トピックス一覧 > 巳之助、隼人が意気込みを披露~8月新橋演舞場「新作歌舞伎 NARUTO -ナルト-」

トピックス

巳之助、隼人が意気込みを披露~8月新橋演舞場「新作歌舞伎 NARUTO -ナルト-」


 8月新橋演舞場「 新作歌舞伎 NARUTO -ナルト-」の上演に先立ち、会見が行われ、脚本・演出のG2、うずまきナルト役の坂東巳之助、うちはサスケ役の中村隼人が意気込みを語りました。

【G2(脚本・演出)】
 大変な仕事を引き受けてしまったということを痛感しています。何しろ原作が全72巻という膨大な長さの作品です。しかも、一頁、一頁にものすごいアイデアと(作者の)岸本斉史先生の情熱が込められていて、何度読み返してもそれが伝わってきます。今後の歌舞伎を背負って立つであろう若いお二人が活躍し、先輩俳優の皆様の力を存分に発揮する舞台を創り上げることを考えますと、正直プレッシャーでございます。
 不思議なことに、食事も喉に通らないとか眠れないとかは一切なく、ものすごく楽しみです。まだプランも不完全ですし、台本も準備稿からお二人と相談しながらという段階です。あと3ヶ月に迫っておりますので急ピッチで進めていかなければならないですが、本当に楽しみでしょうがありません。以前に一度新作歌舞伎をやらせていただいた時に(平成23年8月新橋演舞場上演の『東雲烏恋真似琴』)、歌舞伎に関係する人たちが本当にピュアで、自然体でモノ創りをされるということを体験しました。またその中に入っていけるという、そこで絶対に良いものができるに違いないという、まったく根拠のない期待感に満ちております。

 『NARUTO』のどこをやるんですかと聞かれるんですが、これ本当にぶっちゃけですが、全部です。頭から最後までのナルトとサスケの関係をすべて描いていくのを目標にやっています。二人の関係を描くこと自体が『NARUTO』の世界観に通じる、作品テーマに通じるということを信じて、この膨大な世界を貫く一本のストーリーを創りつつあります。

 偉そうなことは何一つ言えませんが、今回はいろいろな模索の中で、オリジナルストーリーにするという手もありましたが、やはり原作に忠実な形でやりたいと思いました。原作に忠実な形でやっても、歌舞伎俳優がやったり、歌舞伎の発想でやると全然変わったことになっていく。だからこそ、逆に脚本としては忠実にやりたいということです。今の準備稿に関しては、岸本先生のセリフだけで構成されているものを創っております。
 原作を知っている方が見ても「おお、それそれ」と思えるし、知らない方が見ても「何だ、このすごさ」と思える。そして、ナルトとサスケが早く一つの絆で結びついて欲しいと、ハラハラしながら見守り、最終局面を迎えるということを考えています。演出としては、そこに歌舞伎のケレンであるとか、大仕掛け、演技法みたいなものを取り入れながら、「新しい歌舞伎」として組み合わせることによって生まれるものを稽古場ですくい取ってまとめていきたいと思っております。


【坂東巳之助】
 10歳の頃、近畿地方の祖母の家に遊びに行きまして、帰り際に駅構内の本屋さんで祖母から電車の中で読むようにと買ってもらった第1巻が私と『NARUTO』の出会いでございます。忘れることはございません。それから20年近い歳月を経て、この度、私がうずまきナルトを勤めさせていただきます。こんなに嬉しくて、感動的なことはないという風に感じています。また、同世代の中では非常に珍しいレベルで共演の多い隼人君と二人でナルトとサスケという二人の物語を描いていくことができるということは、本当に嬉しく思います。

 G2さんとは昔、舞台をご一緒させていただきました。そこで、芝居を創るとはどういうことかを教えていただいた私にとっての恩人であり、今の私が舞台に立つ心を教えていただいたのがG2さんでございます。こうやってまた大きな舞台でご一緒させていただけることは本当に嬉しいことでございます。嬉しいことずくめの中、大勢の方のご協力を得て新作に取り組むことができる喜びと感謝の気持ちを忘れないように、8月の千穐楽まで大勢のお客様に喜んでいただけるように、精一杯頑張っていきたいと思います。

 『NARUTO』という作品の魅力は、一言では言い表せません。漫画ということで申し上げれば、まず画が美しい。それからアクションシーンが明快で、まるで頭の中でアニメや実写の映像を見ているかのようにスムーズに動くところでしょうか。その魅力的なアクションシーンも今回の舞台の中で、歌舞伎の立廻りらしい部分も盛り込みながら再現できればと思います。物語も魅力的で、ナルトとサスケがそれぞれ違った種類の孤独を抱えて、お互いのことを必要としながらすれ違っていく、これが『NARUTO』という物語の縦にずっと流れている部分だと思います。なにしろ、この部分を大切にしていきたいという思いと、ナルトもサスケも周りの登場人物から良くも悪くも影響を受けて、最後、二人の物語の決着へと向かっていくという流れを丁寧に、丁寧にお見せできればと思っております。


【中村隼人】
 『NARUTO』という作品は大好きで、中学生の頃から読んでいました。実は『ワンピース』が歌舞伎になると伺った時に、『NARUTO』の方が合うのではないかなと思っていました。『ワンピース』に負けないぐらい、それを超えるように、巳之助兄さんと私、そしてG2さんの演出のもとに創って行ければなと思っております。自分が昔憧れていたヒーローだったり、自分の好きだった漫画、それを今自分達が、しかも歌舞伎で上演することができるというのは、本当に嬉しいことです。歌舞伎の大先輩方が漫画原作の歌舞伎をやるということに「古典も大事だけど、こういう新作で勉強するのも大切だから、頑張ってきなさい」というふうに背中を押してくださいます。僕自身、この作品に臨めることを本当に楽しみにしております。

 『NARUTO』は、ナルトが小さい頃から、大人になって、ナルトが“火影”になるという夢を叶えるまでがクッキリと描かれているところがすごい魅力なのかなと思います。最初現れた時は敵だった人物たちがみんな仲間になって、最後は協力して一つの大きな敵を倒す。そういった少年漫画の王道といえる中でも、新しいものがたくさんあって、アクションシーンが分かり易い。また、ナルトとサスケの関係性も根本には“友”というものがありながら、ライバル心や嫉妬などいろいろな感情が渦巻いている、この二人が『NARUTO』という作品の厚みを出し深めているのではないかと思います。

 漫画原作の強みは、お客さん全員が、出演者全員が、作者が深いところまで描いたキャラクターをすべてわかっていて、そこに自分の役を寄せていくというところでしょうか。そこが一番大事ですし、やり易いと思うところですが、アニメで声や見た目のイメージが付いている中に舞台化をすることは結構難しい作業だと思います。今回は、女性の役も男性の俳優が演じる歌舞伎独特の手法でやりますので、そういった「歌舞伎のウソ」というものを上手く利用してお客様にいろいろなことを伝えられるような舞台にしたいです。歌舞伎と『NARUTO』の相性は凄く良いと思うので、そういうところを見つけて、それを舞台に組み込めたらいいなと思います。


 交互出演でうちはマダラを演じる市川猿之助片岡愛之助からもメッセージが寄せられました。「巳之助君、隼人君、二人の前には『ワンピース』という非常に高い山がそびえ立っています。見事に超えてください。超えさせないように、こちらもこれから奮闘してまいります。まさに、マダラとなって二人の前に立ちはだかりますので、どうか僕を打ち倒してください」と猿之助。「今回、うちはマダラを演じさせていただきます。二人とも全力でかかってきてください。私も全力で立ち向かいます。楽しみにしております」と愛之助。二人のメッセージが披露されると、会場の雰囲気はさらに盛り上がりました。