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猿之助、巳之助が「松竹大歌舞伎 『獨道中五十三驛』」への思いを語りました


 今秋、全国を巡演する「 松竹大歌舞伎」(10月1日~26日)では、『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』が上演されます。公演に先立ち、記者会見が行われ、お互いの役をダブルキャストで演じる、市川猿之助坂東巳之助が意気込みを披露しました。

【市川猿之助】
 今回『獨道中五十三驛』という、地方(巡業)公演では大変難しいと言われる作品を持って行けるようになりました。一昨年やらせていただいた時は、五十三驛ということで五十三場を復活、きっちりやりました。巡業でそれをやるわけにはいきませんので、「発端」の場面と眼目である「化け猫」、そして最後の踊りで早替りをお見せする「所作事」を主に上演する事になりました。巡業には歌舞伎のオーソドックスな古典が行くことが多いですが、歌舞伎のもう一つの魅力として、こういう作品があるということを皆様に是非お届けしたい。

 ダブルキャストについては、一番元気な時の姿を見てもらうのが一番早いので、少しでも何かをくみとってもらえれば思ってお願いしました。俳優は出てきた時にお客様の心をパッと掴む華がないといけない。巳之助さんとスーパー歌舞伎をやった後に、古典で彼が出演した時のお客様の反応が明らかに違うのがわかったんですね。今回の公演では、芸以外の気迫、迫力、それから俳優としての厚みみたいなものが身に付いていけば良いなと思います。

 伯父(市川猿翁)からは、今の時代、地方の方々のほうがもの凄く知識を持っている。大劇場でやっている以上のクオリティーを目指して持って行かないと満足をしてもらえない。地方だからこそ、より良いものを見せるぞ、という気概で行かないといけない。ということを言われていたので、今回この作品を何とかして持って行きたいと思いました。
 十三役早替りについては、出てくる役ごとの面白さ、その踊り分け、いろんな舞踊に出てくるエッセンスがギュッと詰まっているので、替り目の鮮やかさをお見せしたいと思います。


【坂東巳之助】
 19歳の時に、当時亀治郎だった猿之助の兄さんに連れて行ってもらったのが初めての巡業公演でした。その猿之助の兄さんと久しぶりに行く巡業がこんな形になろうとは、本当に寝耳に水、青天の霹靂、こんなありがたいことはありません。なるべくたくさんのことを吸収して、自分自身が今出来ること以上のことをやり、全国の皆様に楽しんでいただけるように精一杯勤めさせていただきます。

 猿之助の兄さんは度々、私の身に余るような大きなお役をさせてくださいます。今の自分ではできないような、自分の殻を破らなければできないような役をさせてくださるので、それに何とか応えられるように、くらいついていけるようにと、いつも必ず思っています。