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染五郎が「公文協東コース」への思いを語りました


 「平成28年度(公社)全国公立文化施設協会主催 東コース 松竹大歌舞伎」(6月30日~7月31日)では、「ご挨拶」『晒三番叟(さらしさんばそう)』『松浦の太鼓(まつうらのたいこ)』『粟餅(あわもち)』が上演されます。
 公演に先立ち、記者会見が行われ、市川染五郎が意気込みを披露しました。

【市川染五郎】
 公文協の巡業は何度か出演させて頂いていますが、座頭で行かせていただく事は初めてで、大きな責任を感じております。また、今回は上演回数も多いと聞きましたので、そのような機会をいただけた事に感謝したいと思います。
 巡業は「その日一日しか無い公演」の連続であるということを忘れずに勤めなくてはいけません。何年かに一度しか伺うことができない、私自身を観ていただくのはそれより少ないかもしれない、その中でどういったお芝居をするかによって、たった一回で判断されてしまう大変責任のある公演です。その日一日で魅力を感じていただけるものを目指して、そしてご覧いただいた皆様に歌舞伎に興味を持っていただき、東京の歌舞伎座をはじめとする劇場にも足を運んでいただきたいと思っています。

 『松浦の太鼓』は大好きなお芝居ですし、憧れのお芝居でもあります。叔父(中村吉右衛門)の松浦を拝見していると、これは一生懸命やって成立するお芝居ではなく、本当に楽しくなるというか、観ているほうがなにか心を操られてしまう、そして感情を思うがままに操られてしまうことが快感でもあります。それを目指し、また、比較的年齢の高い役ですので、ゆとり・大きさを忘れずに勤めることができればと思います。
 『粟餅』は上演される機会が少ないのですが、賑やかで楽しい踊りです。壱太郎さんと楽しく作り上げられればと思っております。

 最初に「ご挨拶」をつけさせていただき、簡単ではございますが歌舞伎の歴史、ご覧いただく演目の紹介をしたうえで、作品をご覧いただく形をとらせていただきました。巡業には歌舞伎の普及という目的があります。そのためには、もちろん素晴らしいお芝居をお見せすることが第一ですが、このような「ご挨拶」で私自身が皆様にご紹介をして、またイヤホンガイドではその土地土地のお話をするなど、あらゆる角度で歌舞伎を楽しんでいただくことを考えながら準備をしています。
 巡業先でお客様の新鮮な反応に触れるのも楽しみです。そして、劇場に入ったときから、皆様を歌舞伎の世界に誘っていくことができたらと思っています。