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玉三郎主演、新作組踊『聞得大君誕生』の制作発表が行われました


 平成25年3月、坂東玉三郎が沖縄伝統芸能「組踊」の新作『聞得大君誕生(ちふぃじんたんじょう)』に主演します。
 『聞得大君誕生』は沖縄を代表する作家大城立裕の書き下ろし作品で、中世の琉球王国を舞台に、身分の違いの恋に揺れる王妹が悲しみを乗り越え、300年以上にわたって国と国王を守護する最高の神女として代々存在し続けた「聞得大君(ちふぃじん)」が誕生する歴史的瞬間を劇的に描き出します。
 東京では 国立劇場・小劇場で3月8日(金)、9日(土)、10(日)の3日間3回公演、沖縄では 国立劇場おきなわ・大劇場で3月15日(金)、16日(土)、17日(日)の3日間3回公演が予定され、第1部は坂東玉三郎と沖縄の中堅・若手による古典沖縄舞踊の上演、第2部で新作組踊『聞得大君誕生』が上演されます。話題の舞台に先立ち制作発表が行われ、作者の大城立裕、坂東玉三郎を初めとする出演者らが意気込みを語りました。

 

【大城立裕(作者)】
 玉三郎さんが琉球組踊へ挑戦なさることに深く敬意を表します。そしてその台本を担当させていただくことを光栄に思っています。国家の宗教の担い手となる使命を負わされ、結婚することを許されなかった聞得大君、その初代の聞得大君が恋をしていたらどうなるだろう・・・琉球民の為に身を捧げた王女の恋というモチーフは、玉三郎さんにうってつけのものだと自負しておりますし、玉三郎さんにも個性を十分に発揮してもらえると思っています。
 今回、相手役や脇役に沖縄県立芸術大学で学び、琉球古典芸能の新時代を担う若い役者達が挑みます。玉三郎さんの芸を十分に引き立てながら学ばせてもらえるとても良い機会になると思いますし、今回の上演が歌舞伎と組踊との記念碑的なコラボレーションとして成功し、新時代の組踊の種を蒔くことになればと期待いたします。


<写真左>音智殿茂金:坂東玉三郎
<写真右>音智殿茂金:坂東玉三郎、伊敷里之子:川満香多


【坂東玉三郎】
 組踊が国立劇場で上演される時に度々拝見しておりまして、このお話をいただいたときに、私がこの紅型の衣裳を着て聞得大君という役を勤めたらどういうふうになるのだろう、この中に入れるのであれば勉強してみたいという思いが浮かびました。そして、歌舞伎以外の様式を持った芸能に入ることはとても大きな試みでございますが、琉球王国、昔の沖縄の国の神事を司る国王の妹として、自分の私情というものを断ち切って国の為になるという女性像というのは、とてもやり甲斐のある役だと思い、お引き受けさせていただくことにいたしました。
 新しい作品を、新しい時代を担う国立劇場おきなわの研修から上がっていらした方と一緒に出来ますことは本当に素晴らしいことです。皆さんと一緒に将来に向かって、出来る限り沖縄の組踊の基本に則しながら、そして新作ではありますが古典の様式を持って、これは古くからあった作品ではないかというような作品になればと思っています。組踊の基本の舞踊の形、動き、古典の言葉での語り、そして組踊を"聴く"・・・音楽的な沖縄の素晴らしい旋律、歌声というものの中でどのくらい自分が浮遊できるか、それらに包み込まれて、沖縄の音楽性というものの中に自分が漂えていたら良いなと思います。


<写真左>尚真王:玉城盛義
<写真右>伊敷里之子:川満香多


【川満香多】
 今回、玉三郎さんの相手役の伊敷里之子(いしちさとぅぬし)を勤めさせていただきます。まだまだ至らないところや未熟な点も多々ありますが、このチャンスを最大限に生かし、今後の活動に生かせるように精一杯勤めたいと思います。舞台に立つ側から見ての台本の解釈というところで、玉三郎さんといろいろお話をさせていただいて、「ああ、なるほど」と思うところがたくさんあります。これから稽古を重ねながら、玉三郎さんの解釈の仕方というものも勉強していきたいと思っております。

【玉城盛義】
 玉三郎さんの演じられる聞得大君、音智殿茂金(うとぅちとぅぬむいがに)の兄、国王尚真(しょうしん)を勤めさせていただきます。日本のみならず、世界的に活動されている玉三郎さんに、私達が日頃やっております組踊に出演していただくということは大変名誉なことです。これをきっかけに組踊に対する関心が日本はもとより世界的にも広がっていただければと思っております。そして私達、若い世代も玉三郎さんの胸をお借りして全力で演じていきたいと思います。

<下写真>左から、玉城盛義、大城立裕(作者)、坂東玉三郎、川満香多