片岡 孝太郎 (初代) カタオカ タカタロウ

屋号
松嶋屋
定紋
追いかけ五枚銀杏
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼30代では父・片岡仁左衛門のもとで修業を重ね、義太夫狂言、上方狂言の若女方として活躍した。『俊寛』の千鳥、『新版歌祭文』のお光・お染などで実力を発揮する一方で父や松本幸四郎を相手にした『女殺油地獄』で、情が仇になって殺される女房お吉を程よい色気と哀れを兼ね備えた演技で表現して当たり役にした。歳を重ねると共に立女方(たておやま)の役を演じるようになり、『義経千本桜』の典侍(すけ)の局・静御前・お里、『仮名手本忠臣蔵』のおかる、『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)』のお園、『引窓』のお早、『恋飛脚大和往来』の梅川など時代世話の大役を次々に演じ分ける。舞踊では『廓三番叟』、『かさね』、『相生獅子』などで風格を見せ、中堅世代を代表する女方として活躍している。義太夫狂言に相応しい台詞術、気品のある芸格、優れた舞踊の腕を備え、加えて研究熱心な姿勢で役に取り組んできた。近年は『芝浜革財布』の女房おたつのような江戸狂言、『勧進帳』の義経など立役にも芸域を広げている。

〔水落 潔〕

経歴

芸歴

▼1968年1月23日生まれ。片岡仁左衛門の長男。73年7月歌舞伎座『夏祭』の市松で片岡孝太郎を名のり初舞台。94年名題昇進。

受賞

▼1987年眞山青果賞新人賞。91年関西で歌舞伎を育てる会奨励賞。93年歌舞伎座賞。98年十三夜会賞奨励賞。99年関西・歌舞伎を愛する会奨励賞。2000年眞山青果賞奨励賞。01年眞山青果賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。03年3月『斑雪白骨城』の鶴姫で、05年3月『本朝廿四孝』の腰元濡衣で、11月『絵本太功記』の森蘭丸と十次郎の許嫁初菊で、11年3月『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』の田代屋娘お亀で国立劇場優秀賞。05年大阪舞台芸術奨励賞(歌舞伎部門)。20年度日本芸術院賞。

舞台写真