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勘九郎、七之助が思いを語りました~歌舞伎座八月納涼歌舞伎 新作歌舞伎『廓噺山名屋浦里』


 8月歌舞伎座 「八月納涼歌舞伎」(8月9日~27日)で上演される新作歌舞伎『廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)』。笑福亭鶴瓶の落語が新作歌舞伎として登場!公演に先立ち記者会見が行われ、笑福亭鶴瓶、中村勘九郎中村七之助らが意気込みを語りました。

【笑福亭鶴瓶】
 この話はタモリさんから聞いた、実際にあった花魁と武士の友情の話に感動して落語にした作品です。2015年にネタおろしで上演したのを、勘九郎さんがご覧になり、これを歌舞伎にしたいということになりまして・・・まさか、こんなに早くに実現するとは思っていませんでした。タモリさんのおかげ、そして(十八世中村)勘三郎さんがすべてそうさせているような気がしています。

 歌舞伎の台本も拝見しましたが、凄く良くて。最後の浦里が喋るシーンもメチャクチャ良いんですよね。落語の場合は、場面や人物が、それぞれ皆さんの頭の中に浮かびますが、歌舞伎の場合はそれを全てキャスティングしてちゃんと形にしてみせます。想像したものが実際に現れるという、この素晴らしさを楽しんでもらえたらと思います。

 息子の駿河太郎も出演させていただきます。勘九郎さん七之助さんとは、仕事をするようになって凄く仲が良くなって・・・私が紹介したわけでもないのに不思議です。「歌舞伎にするから、太郎ちゃんにも出てもらうよ」と勘九郎さんに言われて、「そんなわけがない!」と思っていたら、出来上がったチラシに「駿河太郎」と書いてあって・・・あらためて驚きました。私が落語で第四期の歌舞伎座に出て、新しい歌舞伎座にうちの息子が出るって、不思議ですよね。そうやって勘三郎さんが天国で操作しているんだと思います。


【小佐田定雄】(脚本)
 歌舞伎座に落語作家の私の名前を出してもらうというのは、本当に夢のようでございます。以前、桂枝雀師匠が歌舞伎座で独演会をされた時に私の新作落語をやってくださって、「もうこれで死んでもいい!」と思っていましたら、鶴瓶師匠のおかげでまた名前を出すことができました。こんな嬉しいことはございません。

 去年、鶴瓶師匠の『山名屋浦里』を見た時に、師匠の顔がパッと勘九郎さんに見え、次に七之助さんに見えて、さらには歌舞伎座全体の大道具が全部見えて・・・これはいけるなと思いました。言葉の芸の落語がもとになっているので、セリフが多く、くどくならないように、また歌舞伎の演出でさらに面白い作品になればと思っています。


【今井豊茂】(演出)
 この企画があるという話を聞いた時に、全く自分はこのようなところでお話をするとは思っていませんでした。8月になったら楽しみに見せていただこうと思っていたのが・・・演出という大役で今からどうしようかと思っております。

 歌舞伎には、落語を元にした名作といわれるものがいくつもございます。鶴瓶師匠の落語、小佐田先生の脚本、そして勘九郎さん、七之助さんがお二人で演じられるお芝居が、それらの作品と同じように繰り返し、繰り返し上演されて、そして落語をもとにした歌舞伎の名作の一つといわれるように、素晴らしい作品になっていくための一助になりたいと思っています。


【中村勘九郎】
 八月納涼歌舞伎で鶴瓶師匠の落語『山名屋浦里』を『廓噺山名屋浦里』として上演できる事を、大変嬉しく思っております。去年聴かせていただいたとき、始まってすぐに大道具などの情景が頭に浮かんできて、終演後すぐに「歌舞伎にさせてください」とお願いをしました。こんなに早く実現するとは思っていませんでしたが、これもきっと父(十八世中村勘三郎)が巡り合せてくれたものと思っています。

 心温まる友情の話です。私が聴いた時の感動をそのままお客様に伝えなければいけない、それが私達の使命だと思っております。父がよく「生きている人のものをやらなければいけない、それが歌舞伎俳優だ」と言っておりました。こうして作品に巡り会えたのは、私達にとって幸せなことです。皆様の力を合わせて良い芝居にしたいと思っています。

 私が演じるのは酒井宗十郎という武士で、とても真面目、物事全てにまっすぐで魅力的な人です。廓での遊びも知らないまま、廓で迷っている時に、弟が演じる浦里に出会います。私は根が真面目なので、とてもやり易い役ではないかと思っています(笑)。
 落語は台詞や情報の量が多いので、テンポを大事にしたいと思います。本当にそこが命です。場数も結構ありますが、幕は一切使わず、暗転もほとんど使わずに進めていけたらと思っています。


【中村七之助】
 自分たちのホームの歌舞伎で、大好きな鶴瓶さんと一緒にお仕事が出来ることを本当に嬉しく思います。父と鶴瓶さんはとても仲が良いのですが、舞台を一緒にやったことはなく、私たち息子が共演できるのですから、これは父がくれたプレゼントだと思って、楽しくやらせていただきたいと思っています。

 私が演じる浦里は、歌舞伎の花魁の素晴らしい特徴を全て凝縮させたようなお役です。プライドを持ちながら、その中で一人の人間としての寂しさや哀しさも持ち、普通の女の人と花魁浦里の二面性が上手く出ている脚本になっています。「ああ良いな」としみじみ思えるような台詞や情景もあって、演じるのが凄く楽しみです。最初に私が感じた素敵な花魁像を表現したいと思っています。