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魁春、彌十郎、新悟が意気込みを披露~7月国立劇場 歌舞伎鑑賞教室


 7月国立劇場 歌舞伎鑑賞教室では『解説 歌舞伎のみかた』『卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)』が上演されます。公演に先立ち、中村魁春坂東彌十郎坂東新悟が公演への思いを語りました。

【中村魁春】
 お柳は魁春を襲名した年、今から13年前に国立劇場で勤めて以来になります。それまでは娘役をすることが多く、自分が親で子どもへの情愛を見せるようなお役は初めてで、父(六代目中村歌右衛門)のお柳の印象も残ってましたから、父のしていた事を思い出しながら、一所懸命させていただきました。

 お柳は“柳の精”という、とても珍しいお役です。セリフのなかにも、「一本立ち」など“木の精”を感じさせる言葉も出てきますから、そういうところは精であることを意識して、親子・夫婦の仲は普通の人間であることを意識してやらせていただきます。前回からお柳が平太郎と出会う「鷹狩」が復活されたので、物語もさらに分かりやすくなっています。普段あまり出ないお芝居ですから、ぜひ皆様に観ていただきたいと思っています。

 今回は彌十郎さんとご一緒させていただきます。平太郎は山を歩きますし、彌十郎さんはスイスがお好きですから、ちょうど良いのではないでしょうか(笑)。また、新悟さんは女方でいらっしゃいますから、私のお柳が、次に新悟さんがやるときの参考になればと思っています。


【坂東彌十郎】
 『卅三間堂棟由来』は親子・夫婦の情を描きながら、妻が“柳の精”であるというファンタジーの側面も持った、ある意味とても歌舞伎らしい演目です。私は横曽根平太郎を勤めさせていただきますが、前回は中村錦之助さんが勤められて、本当に美しく・・・私なりの平太郎ができるよう、全身全霊を込めて勤めさせていただくつもりです。

 今年還暦を迎えましたが、その年に初役で普段とは違うお役をいただき、今までにないものをゼロから勉強し直してみる良い機会、本当に良いスタートができたと感じています。偶然にも、昨年の秋には熊野を訪れて、古道も歩いてきました。その時に見て感じたものを舞台で出せればと思っています。

 魁春のお兄様の相手をさせていただくのは初めてで、とても緊張しています。私事ですが、息子(新悟)が初めて女方を勤めた『佐倉義民伝』では、お兄様が宗吾の女房おさんをなさっていて、その時の舞台写真を今でも寝室に飾っています(笑)。先ほどお兄様から、息子にお柳を、というお話しをしていただき、とてもありがたく嬉しく思っています。


【坂東新悟】
 『解説 歌舞伎のみかた』を勤めさせていただきます。『歌舞伎のみかた』はもちろん、鑑賞教室に出演させていただくのも初めてです。子どもの頃から、先輩方の解説を拝見してきましたが、まさか自分が勤めさせていただけるとは思っていませんでした。身の引き締まる思いです。

 学生の皆さんが今後歌舞伎を好きになってくれるかどうか、責任の大きな役目です。お芝居を理解していただくことも大切ですが、少なくとも感覚的に楽しんでもらうことができるように、うまく手引ができればと思っています。

 残念ながら『卅三間堂棟由来』には出演しておりませんが、魁春のおじ様からのありがたいお言葉を胸に、舞台をしっかりと目に焼き付けたいと思っています。