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鴈治郎が意気込みを披露~12月南座「吉例顔見世大歌舞伎」


 11月30日から12月26日まで、京都四條南座で開催される「 當る申歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 四代目中村鴈治郎襲名披露」。公演に先立ち取材会が行われ、中村鴈治郎が思いを語りました。

 二年振りの南座の顔見世です。昨年は出演できず、何とも言えない寂しさを感じましたが、同時に「来年は鴈治郎という名前でここに“まねき”があがる」そう思うと、楽しみな気持ちになったことを覚えています。顔見世は東西合同公演ということで、“まねき”も東と西の俳優に別れてあがりますから、今回、鴈治郎と藤十郎という二人の名前が西の側に揃い並ぶのも楽しみです。

 昼の部は『河庄』に出演します。鴈治郎といえば『河庄』というイメージがついてまわる程ですから、南座の顔見世でできるのはとても嬉しいです。
 治兵衛は、型というよりも、気持ちの赴くままに演じます。女にだまされたり、小春とのことを思い出したり・・・どうしようもない男の話ですから、なにより、そんな世界にお客様に入っていただかないといけません。気持ちが途切れてしまってはできないお芝居です。 
 四月に歌舞伎座で勤めて感じたのですが、大きな劇場の舞台に治兵衛が出てきて、とぼとぼと歩き草履が脱げて無音になるというシーンが何秒間かあります。その時に“シーン”となっている歌舞伎座は堪らなく恐ろしくもあり、同時に優越感も感じました。治兵衛だけを観てほしいという演出なのでしょうが、こんなところで無音のシーンを創るというのは、本当に凄いお芝居だなと思います。

 夜の部は『土屋主税』です。やはり十二月に、顔見世の時期にやらせていただきたいと思っていたので嬉しいです。
 気持ち良くしないとアカン芝居でしょ(笑)。おずおずしていたり照れくさくやっていたりしたらとてもじゃないけど・・・雪が降って迎える幕切、本当に気持ちの良い役です。
 二代目鴈治郎が独特の感じでやっていましたから、やはりそれらしくやったりするのかな・・・と思っています。良い意味でクサくというか、サラッとはしていない芸をお見せできるように、また玩辞楼十二曲ですから、自分のものにできるように勤めたいと思っています。
 夜の部には『口上』もございます。歌舞伎座では芝居前のような形でやらせていただき、たくさんの皆さんに出演していただきましたが、今回の『口上』でも大勢の方々に並んでいただきます。本当に嬉しいことです。

 11月19日には京都で「お練り」が予定されています。父が鴈治郎襲名の時にやらせていただいたことがありますが、京都でお練りというのは珍しく、本当嬉しいです。一年間やらせていただいた襲名の、ある意味での締め括り。それが生まれ故郷の京都で、“まねき”のあがった南座でできることを、楽しみにしています。