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染五郎が意気込みを語りました~四国こんぴら歌舞伎大芝居


 平成26年4月金丸座(旧金毘羅大芝居)では「 第三十回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」が上演されます。
 昼の部は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」、夜の部は「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」と昼夜共に通し狂言という楽しみな舞台。公演に先立ち、市川染五郎が意気込みを披露しました。

30回という記念の興行を座頭で勤めさせていただけることを有難く思っています。今回上演される狂言はどちらも金丸座で初めて上演されますが、金丸座でなければ味わえない空気感もあると思いますし、過去に勤めさせていただいた役も、また違った気持ちで勤められるのではないかと、とても楽しみにしています。また、恐らくいままでの金丸座の公演でも一番大きい規模の人数で伺うことになると思います。若い座組ですが、毎日全てを出し切って、熱い思いでこの舞台を素晴らしいものにしたいと話しています。この熱をたくさんの方に感じていただきたいと思っています。

昼の部『菅原伝授手習鑑』の「車引」は荒事といわれ、これぞ歌舞伎というお芝居ですので錦絵のような様式美、迫力をお伝えしたいと思っています。「寺子屋」は悲劇ですが、義太夫に乗って、じっくりと、どっしりと、ずしっと胸に来るよう勤めたいと思います。夜の部の『女殺油地獄』は、近松門左衛門の、与兵衛という破綻した男のお芝居です。若い青年の心理の変化というものを感じていただきながら、ちょっと怖いお芝居ですが、凝縮された空気、張り詰めた空気を感じていただければと思います。

『女殺油地獄』は油まみれになっての立廻りも一つの見せ場です。花道を逃げて引っ込んでいきますので、その臨場感というのは、ふつうの劇場よりもさらに近くに感じていただけるのではないでしょうか。また、今回は与兵衛が捕まるまでを上演させていただきますが、前回とは最後の場面の解釈を変え、自分がやってきたことが悪いとやっと気づき引っ立てられていく、以前のように全く破綻した人間のままではない終わりにしようと思っています。

金丸座は、タイムスリップしたような感覚になります。昔の芝居小屋はこういう雰囲気だったんじゃないか、楽屋で将棋を指して時間を過ごしている役者を見ても、そうした風情が感じられます。すっぽん、せり、宙乗りも金丸座ですので、全て人力です。アナログを徹底的にやるという歌舞伎は金丸座でしかできないものです。もちろん名物の「うどん」も楽しみです(笑)。