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三津五郎、菊之助が意気込みを語りました~平成25年度松竹大歌舞伎(秋季巡業)


 11月1日(金)から始まる「 平成25年度 松竹大歌舞伎」(秋季巡業)。演目は久松を慕う田舎娘お光と町娘お染、若者たちの恋の行方を案じる久作の情愛を描いた世話物の名作『新版歌祭文 野崎村』、夢の中でのふたりの逢瀬と痛ましい孤島での生島を描いた劇的な舞踊劇『江島生島』。坂東三津五郎尾上菊之助が、ともに初役で挑む話題の舞台に先立ち、公演への思いを語りました。

【坂東三津五郎】
今回は菊之助さんと、ということで色々案を練りまして、一幕の間に起承転結があって、初めて歌舞伎をご覧になるかたもお分かりになりやすいもの、と言うことで『野崎村』を、また、美しい盛りの菊之助さんが、奥女中と海女の二役を替わられたらきっと素敵だろうし、私も生島新五郎の踊りにぜひチャレンジしてみたいと思っておりましたので『江島生島』を上演させていただくことになりました。

『野崎村』に決まり、菊之助さんが「お兄さん、本当に私のお光で久作をやっていただけるんですか」と言ってくれました。私が久作という老け役になることを気を遣ってくれたのですが、それよりも菊之助さんと私がやるなかで、なるべく良い形で良いお芝居を、全国の方々に観ていただきい、だから喜んで久作を勤めさせていただくよ、とお返事いたしました。

私の祖父(八代目坂東三津五郎)も久作を良く演じておりました。自分の意志ではなかなか自由に生きられなかった三人の若者を見守る親の思い、そして娘のことを思うと張り裂けるような心を持ちながら、娘を優しく見守る・・・こうした人間愛が、客席にいるお客様に伝わるように、心を込めて演じたいと思っています。

旅好きの私としては、全国に伺えることをとても嬉しく思っております。ご承知のとおり、城跡のあるところも数多いので、早起きをしてお城に行きたいな、と今から楽しみにしています。そして9年ぶりに沖縄に伺えるということで、これまた今から楽しみでございます。

【尾上菊之助】
『野崎村』のお光、『江島生島』の江島、ともに初役で勤めさせていただきます。『野崎村』は歌舞伎の中でも、少女の悲恋を描いた代表作の一つで、私の祖父(七代目尾上梅幸)が得意としていた所縁を感じているお役です。その初めての時に三津五郎お兄さんが久作に出てくださって、その胸を借りられる、本当に幸せで一杯です。その暖かいお心に飛び込んでいくつもりで演じたいと思っています。

『江島生島』は大正年間に創られた舞踊で、私の曾祖父にあたる六代目尾上菊五郎が洗い上げ、人気になった舞踊です。前半は、生島のことを思う艶めかしい大奥の女性、後半は、海女になって二役を早替りでお見せいたします。私も旅が好きですし、歌舞伎の劇場が近くになくて、歌舞伎を頻繁にご覧になられないお客様に、歌舞伎をぜひ楽しんでいただきたい、そんな気持ちで一杯です。