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菊五郎、時蔵、菊之助が意気込みを披露~国立劇場初春歌舞伎公演『通し狂言 小春穏沖津白浪-小狐礼三-』


 国立劇場の初春公演では『 通し狂言 小春穏沖津白浪-小狐礼三-(こはるなぎおきつしらなみ こぎつねれいざ)』が上演されます。平成14年に復活通し上演で好評を博した黙阿弥幻の傑作が河竹黙阿弥生誕二百年の年に再び!公演に先立ち尾上菊五郎中村時蔵尾上菊之助が公演への思いを語りました。

【尾上菊五郎】
 14年前は小狐礼三をさせていただきましたが、今回は日本駄右衛門を勤めます。日本駄右衛門といえば、盗賊の親方と捉えているお客様も多いのですが、今回は若い頃の綺麗尽くめの日本駄右衛門を創っていきたいと思っています。

 お正月狂言ですから、皆さんあまり陰気なジメジメしたものをお喜びにならないでしょうから、創るほうとしては、見終わった後にスカッとして、一年これからまた歌舞伎を観るぞと思っていただけるようなお芝居にしたいと思っています。
 雪月花の“だんまり”や、鳥居の中の大立廻りなどを、より激しくより速く、お客様をアッと言わせる趣向を考えています。どうぞ楽しみにしてください。


【中村時蔵】
 初春の国立劇場は、例年ですと復活物でございますが、今回は14年振りの再演です。以前に梅幸のおじさまがこのお才の役をなさっていて、当時の写真を基に衣裳を誂た思い出があります。お才は実は女なのですが男に身をやつしていますし、菊之助さんが演じる小狐礼三は男ですが、女に化けているという対比も面白いところです。すっきりとした盗賊を勤めたいと思っています。

 劇中には、『三人吉三』の大川端のような場面があり、金を取り合っているところに日本駄右衛門が割って入るというような趣向もございます。“だんまり”では・・・前回、舞台稽古の際に仕掛けの火花が私の方に飛んできたという、苦い思い出もございます(笑)。
 前回も勤めたお役ですので、より練り上げて面白いものにして、今回は相手役の小狐礼三が菊五郎さんから菊之助さんへと若返りましたので、私も若返って一所懸命勤めたいと思っております。


【尾上菊之助】
 14年前は花魁の花月をやらせていただきました。その時は、父の小狐礼三、時蔵のお兄さんのお才を「かっこいいな」と思いながら拝見していました。黙阿弥生誕二百年の年、五代目菊五郎が初演し、十五代目市村羽左衛門さん、父と勤めてきた小狐礼三を私が勤めさせていただくということで、非常に楽しみであり身の引き締まる思いです。
 “実は盗賊”という変わり目をお見せできればと思っております。変わる前、変わった後の台詞廻しの違いや、若旦那風の男が盗賊になった時にガラッと雰囲気が変わる、そういう変わり目の面白さを大事に演じたいと思っております。

 仕掛けもたくさんあります。以前の鳥居の大立廻りではトランポリンも使いましたが、今回はそれに磨きをかけてよりスピーディにアクロバティックな立廻りをお見せできればなと思っております。
 こうして再演させていただくのはとてもありがたい事です。古典狂言というのは何回もかかるうちにブラッシュアップされて面白くなっていきます。前回よりも面白くお客様に楽しんでいただけるように工夫をしていきたいと思っております。