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仁左衛門、時蔵、孝太郎、愛之助が三月国立劇場『絵本合法衢』への意気込みを語りました

 3月国立劇場歌舞伎公演では、四世鶴屋南北の傑作の一つ『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』が上演されます。仁左衛門が悪党二役に挑む話題の舞台。公演に先立ち、片岡仁左衛門中村時蔵片岡孝太郎片岡愛之助が意気込みを語りました。


片岡仁左衛門
 悪を演じるのは楽しいんです。悪いことをするのが許されるんですよ舞台の上では(笑)。今回は同じ芝居の中で悪人を二役演じます。一つの狂言の中で、全く違う役ではなく、同じ悪の中で違う二人の悪人になりきる、これも楽しみですね。

 悪にもいろいろありますが、この二役に関しては全くの悪人です。でも主役級の役者がやる悪というのは、どこかに魅力がなくてはなりません。あんなに悪い奴だけど格好良くてこのお芝居は楽しいねと、現実では許されない、劇場空間で許される悪をお客様に楽しんでいただきたいと思っています。

 悪、悪とばかり言っていると、何かこう“陰気臭く”感じてしまうかもしれませんが(笑)、決してそれだけじゃないところに歌舞伎の面白さがあります。これが普通の映画やドラマでやりますと、本当に嫌な面だけが出てくるのでしょうが、暗い芝居であって何か明るい、これが歌舞伎の魅力ですね。


中村時蔵
 1月に続いて3月も国立劇場に出演させていただきます。今回はうんざりお松という毒婦と、最後に敵討ちをする弥十郎の妻皐月という二役です。仁左衛門さんと久しぶりにご一緒します。胸をお借りして一所懸命勤めたいと思っています。

 仁左衛門さんには、以前「盟三五大切」の小万の時に舞台で殺されましたが、役になりきった仁左衛門さんの源五兵衛の凄みを良く覚えています。今回の大学之助も太平次も全く違うお役ですが、違う悪、素晴らしい悪を演じていただけるのではないかなと思っています。

 うんざりお松は道具屋での強請りのところが見せ場になっていて、今から研究しているところです。蛇を使う場面もあるので、そこでは小道具の面白さをお客様に楽しんでいただければと思っています。


片岡孝太郎
 前回(平成4年新橋演舞場)の時は妹のお米を勤めましたが、今回ランクアップをして姉のお亀を勤めさせていただきます。前回芝雀さんが勤めていらっしゃったお役で、ちょうど当時の芝雀さんと同じ年頃になっていますので、それに負けないよう一所懸命勤めたいと思っています。気丈な姉妹ですが、お亀とお米の違いをきっちりと出せればと思っています。

 私は良く舞台で父(仁左衛門)に殺されています(笑)。実際一緒にやっていて殺すという瞬間の、その時の眼は父でも怖いなと思います。とても強い眼、眼力というか・・・昔怒られた時もこんな眼だったかもしれません(笑)。


片岡愛之助
 去年、孝太郎さんと国立劇場に出演させていただきましたが、今年も一緒に出演できることをとても嬉しく思っています。このお芝居は初めてですが、道具屋与兵衛というお役は武家の出で見た目は柔らかい感じで、あまり強くもなく弱くもなく、演じる上で凄く難しいお役です。先輩方の胸をお借りして頑張って勤めたいと思います。

 僕も仁左衛門さんには良く殺されています(笑)。普段から色々なお役を教えていただいていて、そういう意味で、一番間近、一等席で見ることができてありがたいと思っています。自分も出来るだけ、それに近づいていきたいなと思っています。