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孝太郎、愛之助 6月国立劇場 歌舞伎鑑賞教室『鳴神』での意気込みを語る

 国立劇場6月歌舞伎鑑賞教室『歌舞伎十八番の内 鳴神』に出演する片岡孝太郎、片岡愛之助が舞台への意気込みを語りました。

片岡孝太郎
 国立劇場の鑑賞教室は昭和42年に始まりましたが、私は昭和43年生まれですので、自分の生まれる前から教室があることになります。そして、今回の公演期間中に、延べ来場者数が500万人を超えるとうかがっています。想像もつかないような大きな数ですが、国立劇場さんが歌舞伎に力を入れて下さっているからこそ達成できる事と感謝いたしております。
 一般の方に「歌舞伎を観たことある?」と尋ねますと「学校で鑑賞教室に来た」とお答えになる方が多くいらっしゃいます。ところが、演目や出演していた俳優の名をうかがっても、多くの方が忘れてしまっている事が多いようですので、今回の『鳴神』は、皆さんの印象に強く残るような舞台にしたいと思っています。
 『鳴神』は女スパイがお酒やエロティシズムを利用して男の人を騙すという、現代社会にもありそうな怖いお話です(笑)。まず、お客様にそういう物語だということを上手く印象づけることができたらいいなと思っています。途中、雲の絶間姫が鳴神上人に、弟子にしてやろうと言われ「ありがとうございます」と言うセリフがありますが、この言葉には「しめた、上人さん引っかかった!」という裏の意味があります。そのセリフでお客様に絶間姫の気持ちをしっかりと伝え、そこからは裏の気持ちを持ちつつ、愛之助さんの勤める鳴神上人を立てていきたいと思っています。


片岡愛之助
 『鳴神』はユーモアがありとてもわかりやすい演目でありながら、様式美など歌舞伎の様々な要素が含まれていますから、きっと初めてご覧になる方にも楽しんでいただけるのではないでしょうか。以前代役で『鳴神』を勤めた際はとても心細く、雲の絶間姫の孝太郎さんが揚げ幕から出てこられたときには、舞台上でどれほど安心したことか(笑)。
 昔は雲の絶間姫との会話の中にもう少しきわどいセリフもあったようです。ですから会話はあっさりとしすぎないように心掛け、テンポと言葉の意味を大切にしたいと思っています。鳴神上人は、堕落していく時の目の使い方、息づかいに注意をし、後半の荒事の部分は大きくゆったりとした中でも、機敏な動きや立廻りをしなくてはなりません。とても難しいお役ですが、役の大きさというものを大切にしながら勤めたいと思っています。
 『鳴神』は、叔父の片岡仁左衛門に指導していただきました。叔父は「昔は言うてたんやけどなあ」と言うのですが・・・鳴神上人がお酒を飲み、名を改めるところがあり、多くの俳優の方々は自分の名前を名乗ってから改めます。ところが、叔父は自分の名前の後に「助平(すけべえ)」と付けるんです(笑)少し恥ずかしいのですが「片岡愛之助助平」でやりたいと思っております。