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扇雀、橋之助 3月国立劇場花形歌舞伎への意気込みを語る

 3月国立劇場で上演される花形歌舞伎 通し狂言『金門五山桐-石川五右衛門-』に出演する、中村扇雀、中村橋之助が公演への意気込みを語りました。

中村橋之助(石川五右衛門、此村大炊之助実は宋蘇卿)
 とてもワクワクドキドキしています。私は延若さんの五右衛門を見て育ち、いつかは"つづら抜け"や山門に立つ石川五右衛門を勤めたいと思っていました。五右衛門はご先祖の四代目芝翫、五代目歌右衛門の当り役でもあり、自分が立役になりたいと思うきっかけとなった、まさに"別格"のお役です。男が男に憧れる、内面に秘めたものが出てくるような五右衛門にしたいと思っています。

 原作は8時間ほどある作品で筋立てもかなり入り組んでいるのですが、それを国立劇場さんと一緒に直し、シャープで様々な仕掛けのあるスペクタクルな作品に仕上げています。きっと初めて歌舞伎をご覧になる方にも楽しんでいただけると思いますし、何よりリーズナブルな観劇料であるところも魅力です(笑)

 扇雀さんとはコクーン歌舞伎や平成中村座などでご一緒させていたただき、新しい事を共に創り続けているとても相談しやすい先輩です。さらにこの舞台には、若い俳優の方々もたくさん出演されるので、よい意味で"お芝居ごっこ"のような遊び心を忘れずに、皆で話し合ってドンドン作品を成長させて、各地でこの舞台が上演できるような面白い作品にしたいと思っています。


中村扇雀(真柴久吉、久吉奥方薗生の方、五右衛門女房おりつ)
 初代鴈治郎も二代目鴈治郎も、父坂田藤十郎も久吉を勤めており、うちは久吉役者でございます(笑)。こうして代々が演じてきたお役を勤めさせていただくことに運命を感じますし、明治38年には、五代目歌右衛門と初代鴈治郎が共演したお役を105年ぶりに曾孫同士が勤めるというのも、歌舞伎の面白いところだと思います。

 歌舞伎座がさよなら公演期間中の3月に私たちが国立劇場でお芝居をさせていただけるというのは非常にありがたい事ですし、責任も重大です。奇しくも同じ月に歌舞伎座で『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』が上演されますが、山門の場面だけではなかなかお芝居の前後が分かりません。歌舞伎座でご覧になった方も国立劇場の『金門五山桐』をご覧になれば、お芝居の筋がよく分かり、さらにお楽しみいただけるのではないかと思っています。

 女方を長く勤めてさせていただいておりますが、1月大阪松竹座で『仮名手本忠臣蔵』の塩冶判官を勤めさせていただくなど、立役を勤める機会も増えて参りました。大阪に比べると東京で立役を勤める機会は少ないので、こうして真柴久吉で皆様の前に出られますことをとても嬉しく思っています。