片岡 我當 (5代目) カタオカ ガトウ

屋号
松嶋屋
定紋
七ツ割丸に二引
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼義太夫狂言から新歌舞伎まで、本人の誠実で実直な人柄を表す役どころに本領を発揮する立役のベテラン。明快な芸風、堂々たる佇まいのなかにも見る人の心を打つ滋味深い舞台は、戯曲の深い解釈や舞台へのひたむきな姿勢に裏打ちされたものであろう。当たり役に、父・十三代目片岡仁左衛門から譲り受けた『堀川猿廻し』の与次郎、『新口村』の孫右衛門、『沼津』の平作などがあり、いずれも素朴な人となりに情がにじむ。ほかに、義太夫狂言では『仮名手本忠臣蔵』山科閑居の本蔵や『熊谷陣屋』の弥陀六など、役の複雑な性根を表現する。若い頃、二代目尾上松緑に師事したことで江戸の荒事も守備範囲。朗々としたせりふ回しは、新歌舞伎『修禅寺物語』の夜叉王や『将軍江戸を去る』の山岡鉄太郎などに活きる。近年では『時平の七笑』の藤原時平や『日招ぎの清盛』の平清盛で見せた存在感も圧巻。学生を対象に歌舞伎鑑賞教室を行い、ファンのすそ野を広げた功績も大きい。

〔亀岡典子〕

経歴

芸歴

▼1935年1月7日生まれ。十三代目片岡仁左衛門の長男。40年10月大阪・歌舞伎座『堀川』のおつるで片岡秀公(ひできみ)を名のり初舞台。71年2月大阪新歌舞伎座『二月堂』の良弁ほかで五代目片岡我當を襲名。

受賞

▼1971年大阪府民劇場奨励賞。72年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。84年9月歌舞伎座『伊勢音頭恋寝刃』の奴林平ほかで歌舞伎座優秀賞。97年京都府文化功労賞。98年第十七回眞山青果賞大賞。2004年10月『伊賀越道中双六』の雲助平作で国立劇場特別賞。05年旭日双光章。十三夜会賞など多数。アメリカ・ワシントン州名誉州民、カナダ・カルガリー市の名誉市民。

舞台写真