大谷 友右衛門 (8代目) オオタニ トモエモン

屋号
明石屋
定紋
丸十、水仙丸
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼歌舞伎女方の頂点に立っていた父・四代目中村雀右衛門の品のある芸風を自身の立役のなかに受け継いでいる。名優・七代目松本幸四郎の娘だった母親の品の良さも血筋にあるのだろう。友右衛門の名跡は代々敵役の家柄として知られているが、立役から女方に転身して七代目を名のった父親が懸命の努力で再び築き上げた。立役では持ち役ともいうべき『勧進帳』の四天王・亀井六郎、『毛抜』の小野春道、また『源氏物語』で演じた兵部卿宮などにそれがうかがわれるが、近年は脇の老け役も手掛け、『一本刀土俵入』の清大工、『弁天小僧』の浜松屋幸兵衛などに役の幅を広げた。女方を演じることもしばしばあり、『実盛物語』の娘小万、『助六』の三浦屋女房などを演じ気性のしっかりした人物像を見せている。NHK大河ドラマ『春の波濤』など歌舞伎以外の演技経験も多い。子息の大谷廣太郎、大谷廣松と頼もしい後継者に恵まれている。

〔森 洋三〕

経歴

芸歴

▼1949年2月23日生まれ。四代目中村雀右衛門の長男。61年2月歌舞伎座『勧進帳』の太刀持で二代目大谷広太郎を名のり初舞台。64年9月歌舞伎座『ひと夜』の康二で八代目大谷友右衛門を襲名。69年4月名題適任証取得。

受賞

▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。77年6月『本朝廿四孝』の妻入江で、79年11月『元禄忠臣蔵』の中臈お喜世で国立劇場奨励賞。99年9月松竹会長賞。

舞台写真