▼若女方。美しい顔だち、気品の高さ、初々しさに近代的知性を兼ね備え、『吉田屋』の夕霧などはすでに定評がある。『伽羅先代萩』の八汐は立役の人が演じることが多いが、女方ならではの味わいを見せる好演だった。最近は立役にも果敢に挑戦し、特に『心中天網島』の紙屋治兵衛や『封印切』の忠兵衛など、父が得意とする上方歌舞伎の和事の芸の継承に意欲を燃やして芸域を拡げつつある。
▼昭和35年12月19日生まれ。坂田藤十郎の次男。兄は中村翫雀。42年11月歌舞伎座『紅梅曾我』の箱王丸で中村浩太郎(ひろたろう)を名のり初舞台。平成7年1月大阪・中座『本朝廿四孝』の八重垣姫ほかで三代目中村扇雀を襲名。
▼昭和44年国立劇場特別賞。62年関西で歌舞伎を育てる会演技賞。63年に2回と平成元年に十三夜会賞奨励賞。



