▼女方。名実ともに歌舞伎界のリーダー。明治・大正・昭和と三代にわたって近代歌舞伎を統率した祖父・五代目中村歌右衛門の膝下に育ち、祖父亡きあとは、名人・六代目菊五郎の厳しい薫陶をうけた。『伽羅先代萩』の政岡や『本朝廿四孝』の八重垣姫と濡衣、『菅原伝授手習鑑』の松王女房千代など、時代物の数々の大役を持ち役とする。『魚屋宗五郎』の女房おはまや『幡随長兵衛』の女房おときなど、世話物の女房役もきっちりと演じて余すところがない。舞踊でも『京鹿子娘道成寺』『鏡獅子』『藤娘』などの大曲を自家薬籠中のものとしている。すべてにおいて規矩正しい端正な芸に、品格と風格が漂い、観客には本物の歌舞伎の芸を、後進の俳優たちには生きたお手本を見せてくれる。歌舞伎界全体への目配りと、後進の指導者としての大きな任務も立派に果たしている。
▼昭和3年3月11日生まれ。五代目中村福助の長男。祖父は五代目歌右衛門。8年11月歌舞伎座『桐一葉』の女童で四代目中村児太郎を名のり初舞台。15年から六代目菊五郎に師事。16年10・11月歌舞伎座『忠臣蔵』九段目の小浪ほかで七代目中村福助を襲名。42年4・5月歌舞伎座『鏡獅子』ほかで七代目中村芝翫を襲名。
▼昭和42年度芸術選奨文部大臣賞。49年度日本芸術院賞。平成元年紫綬褒章。同年日本芸術院会員。5年眞山青果賞大賞。同年放送文化賞。8年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。18年文化功労者。ほか受賞多数。



