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愛之助が意気込み~大塚国際美術館 第八回システィーナ歌舞伎


 「和と洋のコラボレーション」「新作歌舞伎」をコンセプトに、徳島から新しい文化の創造を発信してきた システィーナ歌舞伎も来年で8回目を迎えます。今回は『GOEMON ロマネスク』と題し、2018年2月15日(木)~18日(日)の4日間、計8回の上演を予定。第3回システィーナ歌舞伎(2011年)で上演された『GOEMON 石川五右衛門』のもうひとつの物語、水口一夫の作・演出、藤間勘十郎の振付による新作歌舞伎です。
 公演に先立ち製作発表会見が行われ、出演の片岡愛之助、作・演出の水口一夫が公演に向けての思いを語りました。

【水口一夫(作・演出)】
 今度で8回目になりましたシスティーナ歌舞伎。1回目からずっと作・演出を担当させていただいております。いつも本当に楽しみに、ここでどんな舞台が創れるかなという気持ちで取り組んでおりますが、その数倍苦しみもございます。非常に難しい空間で、その中で“和と洋のコラボレーション”、そして館内の素晴らしい作品に負けないものを創ろうと思うと本当に難しいものがございますが、とにかく7回目までは無事にやってまいりました。

 8回目は『GOEMON』をやらせていただくことになりました。『GOEMON ロマネスク』、ロマネスクというのは建築用語でゴシックの前に出来た建築物を指す言葉です。そこから発展いたしまして、文学や彫刻にもロマネスクという言葉が使われております。非常に創造的といいますか、空想的といいますか、数奇な、といった意味合いの芸術がロマネスクでございます。“ロマネスク様式”という建築の方では、ゴシックの前にできた建築様式でキリスト教の建築様式の上に東洋(東方)のスタイルを取り入れた建築様式です。ロマネスクと題しましたのは、今度の『GOEMON』は西洋と東洋のコラボというところから命名をさせていただきました。今までにない『GOEMON』ということで、非常に数奇な運命を辿る五右衛門ということで使わせていただこうと思っております。

 前回の『GOEMON』の続編のようでもあり、新たな『GOEMON』でもありというような作品になると思います。『GOEMON』をご覧になったお客様から「五右衛門はあれからどうなるの?」という質問もかなりありましたし、五右衛門の違う作品も創ってほしいという声もかなりありましたので、今回『GOEMON』にしました。“愛と憎しみ”がテーマです。愛之助さんには五右衛門の父カルデロンと五右衛門の二役をお願いしております。中村壱太郎さんにはやはりヒロインを、そして、上村吉弥さんには魔女をお願いしようと思っています。

 できる限り楽しい、エンターテインメントに溢れた舞台にしたいと思っております。五右衛門がイスパニア(スペイン)に渡りますが、そこで果たして“歌舞伎”になるかどうかということが一番の問題でございまして、そこが非常に悩んでいるところでございます。まだ日もございますので、なんとか新しい視点の五右衛門像、そしてあくまでも“システィーナ歌舞伎”という歌舞伎を心に深く留め置きまして、作品を創って行きたいと思っております。




【片岡愛之助】
 前回の『GOEMON』では、コラボレーション歌舞伎というものを学ばせていただきました。ただ普通に“赤毛の五右衛門をやりませんか?”とお話しがあっても、断っていたかもしれません。これもシスティーナ歌舞伎の成せる技、まさに“和と洋のコラボレーション”から生まれた作品で、今では再演を何度も重ねる作品になっております。
 そして今回は“ロマネスク”、私はカルデロンと五右衛門の二役を勤めさせていただきます。毎回、みんなで楽しく創り上げていく作品ですので、今回もきっと楽しい舞台になると思います。この作品が、前回と同じように、大劇場でも上演していただけるような作品になるようにみんなで創っていきたいと思います。

 ふと原点に戻って、何をしようかと考えていた時に、実はちょっと前回の『GOEMON』で気になるところがございました。そこを後々やりたいですねと話をしていたら、やっぱり次回は『GOEMON』が良いのかなということになりました。どんな要素が加わるか、まだ、未知の世界なので、楽しみながらいろいろなアイディアを雑談の中から生み出して、それをいつも通り作品にしていきたいと思います。

 五右衛門は歌舞伎の中でもそうですが、いろいろな方がなさっていますし、いろいろな五右衛門が舞台の上に登場しています。五右衛門というキャラクターは、捉えどころのないというか、ロマンの塊みたいな感じですね。どういう風にもなれるところ、なってもおかしくないところ、枠を飛び越えた役作りと設定ができるところ、そこがお客様に非日常的な空間と時間を楽しんでいただくには最高で最適な人物ではないかと思います。

 大塚国際美術館のシスティーナ礼拝堂の中で「自由に舞台を創ってください」とおっしゃってくださって、いろいろな形の舞台を創ってきました。試行錯誤をしながら、これは違ったなということも繰り返して、やはり難しいなと思いました。360度お客様(客席)というのも難しいのですが、それも一つの勉強かなと思って創らせていただいております。少しでも皆様の心の琴線に触れるような作品になればと思っております。

 『GOEMON』だけではありませんが、システィーナ歌舞伎がなかったら、このようなコラボレーションはなかなか思い浮かばないだろうという作品ばかり出来上がりました。システィーナ歌舞伎だからこそであって、私としてはもの凄い財産をいただいたと思っております。システィーナ歌舞伎に出させていただいて非常にありがたく思っておりますし、永楽館歌舞伎とともに勝手にライフワークだと思わせていただいております。これからも大事にして、ずっとずっと、出来る限りシスティーナ歌舞伎というものをやり続けていきたいと思います。