Home > トピックス一覧 > 菊五郎、時蔵、松緑、菊之助が意気込みを披露~国立劇場初春歌舞伎公演『通し狂言 世界花小栗判官』

トピックス

菊五郎、時蔵、松緑、菊之助が意気込みを披露~国立劇場初春歌舞伎公演『通し狂言 世界花小栗判官』


 平成30年1月の国立劇場初春歌舞伎公演は、小栗判官伝説を題材に再構築した、通し狂言『 世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)』を上演します。壮大なスケールで展開するストーリーと、歌舞伎の魅力を存分に詰め込んだ初春にふさわしい華やかな舞台!。公演に先立ち取材会が行われ、尾上菊五郎中村時蔵尾上松緑尾上菊之助が公演への意気込みを語りました。

【尾上菊五郎】
 国立劇場のお正月の初芝居、いろいろやらせていただきましたが今度は、風間八郎実は新田義貞の子孫を演じさせていただきます。足利幕府を倒そうと企んでいる風間八郎という盗賊の役ですが、まだ台本が出来たばっかりでこれからお客様に喜んでいただけるように、どう面白くなるか、どうするのか、これからまだ一月たっぷりありますので皆さんといろいろ考えながら創っていこうと思います。派手な狂言なので、面白くお正月らしい、明るいお芝居にしていきたいと思っております。

 風間八郎という大盗賊が新田義貞の子孫で幕府に対して転覆を目論む、それと同時に小栗判官の父親を殺すという仇討ちの要素も入っているので、かなりの大悪党で演じていこうと思っています。

 まず、国立劇場のお正月のお芝居を開ける。通しでもって分かりやすく、序幕から最後まで見ていただければ“よく分かった”と言われるようなお芝居を創って、今年も歌舞伎を観ながら一年を過ごそうとお客様に思っていただきたいと思います。


【中村時蔵】
 実は17年前の公演の時に小栗判官を勤めさせていただきました。その時、細川政元は五代目中村富十郎のお兄さん、後家のお槙は九代目澤村宗十郎のお兄さんでございました。今度は、その二役を私がやることになり、私もついにお兄さんたちがやっていた役をやれるようになったのだなと、ちょっと感慨深いところがございます。
 例年の復活狂言から比べると、以前に出た狂言でございますしビデオなども残っておりますので、いつもの手探りよりはより分かりやすく芝居が作れるのではないかと思っております。

 両極端の二役の上に、御趣向で細川政元が白拍子に化けている、というところがありまして、白拍子から細川政元に変わります。台本でいうと1行か2行で書かれていますが、やるほうは大変!・・・これからどうしようかなと考えている最中です。
 お槙は、女方で演じやすいところもあるのですが、立役の細川政元のほうは、劇中、菊五郎のお兄さんが演じる風間八郎が細川政元に化けていて、それを見顕すようなところがありますので、お兄さんの大きさに負けないように勤めたいと思っています。どれくらいできるか、一つの挑戦だなと思っています。

 お正月が歌舞伎というのは、やはり晴れやかな気持ちになれます。初詣に晴着を着て行こうとか、普段お参り等をしない人でも初詣には行ったりしますよね。やはり、そういう気分になっていただきたいなと思います。


【尾上松緑】
 来年のお正月は漁師浪七と横山太郎という二役を勤めさせていただきます。漁師浪七は、小栗判官の為に命をかける役でございます。お正月から血まみれになるような役でございまして、お正月から血なまぐさい役をやることになりましたけれど、私らしいのではないかと思います。お客様に喜んでもらえるように、派手な場面にしていきたいと思っています。

 横山太郎というお役については、最後に出てきて皆さんと共に幕を締める役です。最後のハッピーエンドに向けて、これから皆さんと創って行きます。浪七は、いわゆる忠臣の役でして、気のいい役だと思っております。いままで浪七というと、坂田藤十郎のお兄さんですとか、市川猿翁のお兄さんがやっているのが非常に目にありますから、そういう先輩方の美味しいところをどこかにエッセンスとして取り入れたいと思います。

 一月はいろいろな劇場で歌舞伎は開きますけれども、通し狂言をやっているのは国立劇場だけでございます。最初から最後まで観て、わかりやすかったなと思っていただけるのは国立劇場だけなので、まず初芝居は国立劇場に来ていただきたいと思います。


【尾上菊之助】
 今年もお正月は国立劇場で始めさせていただきましたが、また来年も国立劇場で一年を始めさせていただけること、本当に嬉しく思っております。外題に『世界花小栗判官』とありますが、これは小栗判官のお話しの中の傑作ということで、世界の花ということです。

 小栗判官は、女性に好かれる良い男で、あとは皆様よく御存じの“いざり車”に乗って、それから熊野那智権現の威徳によって病が治る、というところをさせていただきます。お正月らしく華やかな舞台にさせていただきたいと思いますし、時蔵のお兄さんも小栗判官を勤められていますので、お話しを聞きながら勤めていきたいと思っています。父親が殺され、宝を詮議しなくてはいけないという任務を背負った人物なので、とにかく仇討ちと、それから宝をなんとしても探さなくてはいけないという執念ですね、そういう所を貫いていければいいなと思います。

 年が明けて新しい気持ちになり、劇場に行くと新鮮な感じというか、新しい年を迎えるために劇場もお客様を迎える準備をしています。例えば、お飾りであったりとか、ロビーには凧が飾られてあったりとか、特に国立劇場は、初日に鏡開きをしてお客様にお酒を振る舞って、正月の気分を味わっていただきます。お正月をお迎えするというのは日本人にとって大事な一年の幕開けです。各劇場でも歌舞伎が開きますので、お正月の気分を味わっていただくという、その一翼を歌舞伎が担っているのだと思っています。