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猿之助、勘九郎、七之助が意気込みを披露~大阪松竹座「五月花形歌舞伎」


 大阪松竹座の5月は「 五月花形歌舞伎」。花形らしい華やかな面々が揃い、宙乗り、早変わり、本水といった演出の盛り込まれた迫力の演目で昼夜お楽しみいただきます。3月21日(火)都内にて取材会が行われ、出演の市川猿之助中村勘九郎中村七之助が公演に向けての意気込みを語りました。

【市川猿之助】
 『ワンピース』(平成28年3月)以来の大阪松竹座になります。最近、松竹座で歌舞伎は決まった月にあまり開かなくなったので、今回こうして5月に歌舞伎ができることを大変嬉しく思います。また、勘九郎さん、七之助さんと久しぶりに“ガップリ”組むのはたぶん「浅草歌舞伎」以来で、ようやく一緒に出来るなという喜びに満ちています。
 狂言も昼夜共に、それぞれの家が得意としているものが出ますので、是非、楽しみにしていただきたいと思います。上演時間も、夜は日帰りできるような時間で早く終わろうということで、東京からでも日帰りできる時間となっております。是非、東京からもお越しいただきたいと思います。

 『金幣猿島郡』は“趣向”に終わってはいけないと思っています。忠文と清姫は演じている時間が凄く短いので、そこでそれぞれの人物像を見せておかないと最後の『双面』の面白さが無くなってしまいます。私から見ると、(市川)猿翁のおじは人にあらざる役というのが非常に良かったのですが、狂言師升六がいきなり中性の雰囲気があって出てくるところが難しいですよね。男であり、女でありというのがみせられれば良いなと思います。
 三代猿之助四十八撰の中では短時間で、起承転結があってスペクタクルとお芝居と舞踊と入っていて完成度の高い作品で、おじも『金幣』は良くできていると言っています。忠文と清姫のところは非常にわかりやすく現代にも通じるし、嫉妬ですよね、それで道成寺のパロディーだしということで上演を決めました。

 嬉しいのは、今回の公演中に宙乗りが1000回になるんです。意外と1000回ってあっという間だったなと。それほど危険な目に遭わず大きな事故もなく、浅草歌舞伎のメンバーと共演している時に1000回を迎えられるのは非常に嬉しいです。ただ、おじの記録更新にはあと4000回やらなくちゃいけないんですが・・・頑張ります。
 初めはもの凄くしんどかったですが、やればやるほど無駄な力が抜けて、普通は若い時の方が楽だと思いますが年を重ねた方が楽になっていくんです。本番が体も芸も鍛えることになるんですね。

 中村屋さん(十八代目中村勘三郎)とは2回程ご一緒することがあって、その時に「あんたは出たとたんにお客に魔法の粉をかけんだよ」と言われたことが誇りです。それは一生大切にしていますね。ですからずっと、魔法の粉を振り続けていきたいと思っています。


【中村勘九郎】
 猿之助さんと、浅草歌舞伎で一緒にやれた時間は、私にとっては宝物です。こうやって、みんなオジサンになって大阪松竹座に出られることがとても嬉しいです。

 『戻駕色相肩』は、(中村)歌昇さんと「序幕に何かご一緒しましょう!」と話して決まりました。歌昇さんとは、踊りもお芝居もこれから一緒にやっていきたいと思っているので、今回の共演が楽しみですね。

 『怪談乳房榎』は父(十八代目中村勘三郎)も本当に試行錯誤した作品です。本当にいろいろなことをやっていました。最後の榎の場でも、重信が宙乗りで出て来て浪江を引っ張っていくなど、様々な終わり方も試しましたが、最終的には圓朝に落ち着きました。今回は猿之助さんが浪江ということで、最後の大詰は猿之助さんの知恵をお借りして何か面白いことになればいいなと思います。
 父が『乳房榎』をやるときは(三代目實川)延若のおじ様のお名前を必ず入れるというのを言っていたので、今回もおじ様のお名前を入れさせていただきました。おじ様にも父にも敬意を払ってやらせていただきます。江戸のお話ですけれども、“大阪の匂い”というものが上手く出せたらなと思います。


【中村七之助】
 この3人でお芝居をするのは懐かしいですし、もう呼吸はわかりあっているので「大阪の皆様、待っていてください!」と私もいまから公演を楽しみにしています。

 『野崎村』は歌舞伎座で一度、父の追善で勤めました。その時は(お光の)お母さんも出てきましたが、それが凄く好きだったので、その時の心持ちで勤めたいと思っています。
 内容もしっかりしていて、名作ですし、いろいろな名優の方々がやられている役でもありますから、キチッとやるところは義太夫狂言のようにキチッとやり、前回よりも心情が深く乗るように誠実に勤めていきたいと思っています。