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第三十三回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」製作発表記者会見が行われました


 4月8日(土)から23日(日)までの16日間、第三十三回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が行われます。今年は五代目中村雀右衛門襲名披露公演として、襲名して金丸座に初御目見得となる中村雀右衛門と、15年ぶりの出演となる片岡仁左衛門がこんぴら歌舞伎の舞台を飾ります。1月30日(月)に都内で製作発表が行われ、出演の二人が意気込みを語りました。

【片岡仁左衛門】
 大好きな、大好きな金丸座に15年ぶりに出させていただく、こんな嬉しいことはありません。今からもうワクワクしております。特に今回は雀右衛門さんの襲名披露ということで、公演全体が盛り上がるように一生懸命頑張りたいと思います。
 雀右衛門さんは、段々と雀右衛門という名前が身に付いていらしていると思います。芸も落ち着いてこられて、やはりこの一年近く積み重ねていらしているものがあるのでしょう。

 こんぴら歌舞伎の嬉しいところは、お客様、皆さんが最初から「楽しみたい」という気持ちで劇場に入って来てくれる。これが役者として非常にやりやすいんですね。客席と舞台は相乗効果がありますから、それだけにお芝居もやりやすいんです。それも魅力の一つですよね。
 金丸座は、今この時代になって江戸時代の姿が残っているところ、そういう雰囲気がいいですね、あの場所にあるということが非常に魅力を感じます。楽屋でも、裏山から鶯の声が聞こえるんですね。そして、あの舞台に立っていると、私達の先祖はこういう中でお芝居をさせていただいたんだなと思わせていただきます。歌舞伎の原点といいますか、頭でわかっていても体であらためて感じることができる。これは非常に貴重なことだと思います。

 今回は『お祭り』と『身替座禅』で、お芝居をさせてもらえなくて舞踊なんです(笑)。『お祭り』は江戸前の華やかさといいますか、鳶頭のほろ酔いの感じがあっさりとして、第一部の最後を飾るにはちょうどいいのではないかなと思います。『身替座禅』は、男性の浮気というのがいろいろと問題になっていますけれども、不思議なことにこの演目は御婦人方がお喜びになるみたいですね。あくまでも品良く仕上げたいと思います。笑わすのではなくて笑われるように、そういう風な芸を追及していきたいと思っております。


【中村雀右衛門】
 この度は、仁左衛門のお兄さんのお力をいただき、襲名披露をさせていただきます。昨年の3月をはじめとしまして、襲名披露を各地でさせていただきましたが、その全てにお兄さんにご出演をしていただいておりまして、本当にお世話になりました。ありがとうございます。
 襲名披露も、一ヶ月間の公演は金丸座で最後になると思います。最後の締め括りを、父(四代目中村雀右衛門)と生前に『二人道成寺』を勤めさせていただいたところでできるということは、自分にとりましてありがたいことだなと感じております。
 金丸座は、その昔『白浪五人男』の勢揃いで、花道に立ち傘を持ちまして後ろを向いておりましたら、お客様との距離が大変近くてじっとこちらを見ているんですけれども、近くですので恥ずかしそうに目を下に向けられたんです。そのぐらい、とてもお客様との距離が近い劇場だという印象がございます。

 今回は父が何回も勤めた演目、『芦屋道満大内鏡 葛の葉』と『忍夜恋曲者 将門』の大役、二役を勤めさせていただきます。金丸座の舞台にはとても合っている狂言ではないかなと思っておりますので、どうぞ皆様お越しのほどよろしくお願いいたします。
 また、この二つの出し物は、片方は妖術使いでございますし、もう片方は狐が化けているということで、わりと劇場の古い雰囲気と風情、明かりの明るさとか暗さが合っている演目だと思います。父が勤めた通りに、できるだけ勤めるというのがやはり襲名だと思っております。とくに『葛の葉』の引っ込みのところは、差し出しの蝋燭が出まして引っ込みます。そういう意味で蝋燭の明るさとかが劇場に合った、父が勤めたやり方でやらせていただきます。

 襲名からこれまでを振り返ってみると、本当に今まで勉強不足だったなということをあらためて感じた一年でした。これからはより一層、雀右衛門という名前に即すような努力を毎日、毎日続けなくてはいけないなということを、身に染みて感じております。襲名させていただきました以上、最善の努力を尽くして、その名前により近づくように勤めることが自分の今の生き方だというふうに考えております。