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中村梅玉、吉田玉男が泉岳寺を訪れ公演の成功を祈願~国立劇場12月公演


 12月の国立劇場は、歌舞伎公演は『仮名手本忠臣蔵』【第三部】、そして文楽公演でも『仮名手本忠臣蔵』が上演され“忠臣蔵”一色に染まります。
 近年、国立劇場では『伊賀越道中双六』『伊勢音頭恋寝刃』のように、歌舞伎と文楽の同一狂言を連続して上演しており、今回は12月という“討入りの月”に『仮名手本忠臣蔵』が上演される、国立劇場50周年記念ならではの楽しみな企画!
 公演に先立ち、大星由良之助を勤める中村梅玉、大星由良助を遣う吉田玉男が、赤穂浪士が葬られている泉岳寺を訪れ、浅野内匠頭、大石内蔵助らの墓参を行い、公演の成功を祈願しました。

【中村梅玉】
 国立劇場50周年記念の『仮名手本忠臣蔵』の締め括り、今回が【第三部】ということで、その中で大星由良之助をやらせていただくことは、大変ありがたい名誉なことです。
 10月の【第一部】で塩冶判官を勤めさせていただきましたが、この締め括りの【第三部】で大星由良之助、つまり、判官が由良之助に渡した“腹切り刀”を、今度は自分が持ち、敵討の最後にその刀を使って師直を仕留める。なかなか無い面白い体験で、気を引き締めて勤めるつもりです。
 やはり由良之助には“役の重み”を感じます。それをやらせていただくということは役者冥利です。歌舞伎と文楽では異なる部分もありますが、吉田玉男さんも、思いは一緒だと思います。

 九段目は、討入り前の力弥の元に、刃傷で判官を抱き止めた憎むべき本蔵の娘・小浪が嫁入りしてくるという場面で、ドラマとしてとても良く描かれています。今回は、加古川本蔵を高麗屋の兄さん(松本幸四郎)がなさってくださいます。
 十段目は久しぶりの上演です。「天川屋義平は男でござる」という有名なセリフをご存じの方も多いと思います。それほど重苦しい場面ではないので、グッとくる九段目の後、“義の世界”が描かれた場面をご覧頂くことで、お客様には“討入り”にすんなりと入っていただけると思います。

 8月で古希を迎えましたが、若い頃から七十を越しても前髪の似合う役者でいたいと思っておりました。自分が目標とする塩冶判官を10月に勤めさせていただいた事など、今年もいろいろな舞台に挑戦させていただき、本当に充実した一年でした。


浅野内匠頭の墓前にて


【吉田玉男】
 12月文楽公演「仮名手本忠臣蔵」で大星由良助を通しで勤めさせていただきます。
 大序からの【第一部】(昼の部)午前10時半の開演。七段目からの【第二部】(夜の部)が午後4時半開演、終演が午後9時半頃という大掛かりな通し狂言でございます。特に十段目「天河屋」の由良助は初めて勤めます。先代である師匠(初代吉田玉男)は「本当に一番好きなのは由良助や」ということをよく言っておりましたので、二代目を襲名して初めての由良助を一所懸命遣わせていただきます。

 文楽では『仮名手本忠臣蔵』を通しでやらせていただきますが、本当にたくさんの魅力がございます。三段目から四段目にかけての判官切腹。そして、五段目山崎街道出合い、さらには六段目の勘平腹切、本当に良くできています。
 七段目の由良助は、お酒を飲んで寝ているというところなど性根が掴みづらく、一番難しいのでは無いでしょうか。
 八段目の嫁入りから、九段目では本蔵のお芝居になります。太夫さんも、九段目の浄瑠璃は忠臣蔵では一番難しいと言うほど、非常に大変なところです。
 12月といったらやはり“忠臣蔵”ですから、お客様には歌舞伎と文楽の両方を見ていただいて、違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。

 昨年4月に二代目吉田玉男を襲名させていただき、さらに大きい役を頂戴するようになりました。今回も由良助を通しで、こうして遣わせていただけるということは、本当に光栄で、それに恥じないように頑張りたいと思っております。
 この一年は非常に早い一年でした。文楽は大入りが大阪でも続き、12月は締め括り、“大入り袋”が出ればいいなと頑張っております。


※歌舞伎では「由良之助」、文楽では「由良助」と表記が異なります。

★ご観劇のご参考に、こちらもご覧ください。
【歌舞伎演目案内】:仮名手本忠臣蔵
※この案内は、実際の公演の内容、配役とは異なります。