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菊之助・勘九郎・七之助が意気込みを披露~「明治座 四月花形歌舞伎」


 4月明治座では「 明治座 四月花形歌舞伎」が上演されます。公演に先立ち制作発表が行われ、尾上菊之助中村勘九郎中村七之助が意気込みを語りました。

【尾上菊之助】
 明治座の花形歌舞伎公演で『女殺油地獄』の河内屋与兵衛、『浮かれ心中』のおすず、『二人椀久』の椀屋久兵衛と、このような大役をいただき大変嬉しく思っています。どれも初役で、自分にとっては挑戦の月となります。
 また、勘九郎さん、七之助さんとは、コクーン歌舞伎、平成中村座など、私にとって転機となる公演をご一緒してきました。お二人と一緒に舞台に上がっていると、不思議な化学変化がおこり、いつもは出ないような力が沸いてくるので、今から舞台に立つのが楽しみで待ち遠しいです。

 『女殺油地獄』は近松作品の中でも男女の恋を描いていない、唯一と言ってもよい作品です。複雑な家庭環境が生み出した1人の青年の起こしてしまう事件。お金に困って、衝動的に人を殺してしまう・・・(片岡)仁左衛門のお兄様の当たり役として、いつもぞっとする思いで芝居を見ていました。今回はその、仁左衛門のお兄様がご指導してくださいます。後輩に自分の感じてきたこと、なさってきたことを熱心に伝えようとして下さって、非常にありがたく、また、その思いに応えるべく気合いを入れてがんばりたいと思います。

 明治座に出演させていただくのは久しぶりで、劇場に入ったらきっと懐かしい気持ちになると思います。歌舞伎ではないお芝居を見ていらっしゃるお客様も沢山いらっしゃると思いますが、分かりやすい演目がそろっていますので、きっと皆様に歌舞伎の魅力を感じていただけるのではないでしょうか。勘九郎さん、七之助さんと腹蔵なく、いろんなことを言い合って、面白い舞台を創り上げたいと思っています。


【中村勘九郎】
 4月桜咲く賑やかな時期に明治座に出演できること、そして何より菊之助さんとご一緒できるのがとても嬉しいです。菊之助さんのお芝居に対する姿勢をいつも尊敬していますし、一緒にお芝居をさせていただいていてとても楽しく、毎日いろんな発見もあります。
 『末広がり』は勘九郎の会で父(十八代目中村勘三郎)が1度しか勤めていない舞踊です。さらに、『女殺油地獄』の豊嶋屋七左衛門、『浮かれ心中』の若旦那栄次郎を勤めます。こうして父ゆかりの演目ができる事、そして新たなチャレンジが出来る場があるのが嬉しく、千穐楽まで一所懸命勤めたいと思っています。

 『浮かれ心中』は、明治座にぴったりの作品です。ばかばかしいお話ですが、喜劇の裏には闇があるということも描かれています。栄次郎は父が大好きで何度も勤めています。人様を笑わせたい、笑ってもらえるもんなら石ころでも笑わしたい、という人間が、いろんなことをしてしまう・・・とても楽しみです。今回、この作品を初めて演じる俳優の方が多く、今までの父の舞台とは全然違う作品になると思うし、話し合って良い作品にしなくてはいけないという気持ちです。

 芝居見物は一日のイベントです。明治座は人形町にあり、美味しいお店もたくさんあるので、一日を楽しんでいただきたいと思います。おしゃれをして明治座に来て、その後にご飯を食べながらお芝居の感想を言い合っていただければいいなと思います。


【中村七之助】
 今回、『芦屋道満大内鑑』の葛の葉、『女殺油地獄』のお吉、『二人椀久』の松山太夫を勤めさせていただきますが、私も含め3人とも全て初役です。こういうことはあまりありませんから、この公演に“花形”と付くのはピッタリではないでしょうか。10代の頃の、初春浅草の花形歌舞伎の気持ちにタイムスリップするようでドキドキします。4月は世の中も新年度。私たちも新たな一歩を踏み出し、愛する歌舞伎をいろんな方に広めていきたいと思います。

 近松の作品には2ヶ月続けて出演させていただくことになります。人間味溢れる近松の作品は現代にも通じますし、この3人の味が作品に出てくるので、いろんな方に観ていただきたい、そして、心から芝居をして素晴らしい作品にしなくてはならないという気持ちで一杯です。

 『二人椀久』は振付も、音楽も、構成も、衣裳も、装置も全てが揃った踊りです。先輩方の素晴らしい舞台を拝見していて、あのような素敵な踊りを汚さないよう気持ちを込め、ただ雰囲気だけではなく、身体をきちんと使って踊りたいと思っています。