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尾上菊五郎さんが文化功労者に


 平成27年度の文化功労者が発表され、日本俳優協会理事長・伝統歌舞伎保存会副会長の尾上菊五郎さんが文化功労者に選ばれることが決定しました。

 この度、文化功労者という栄えある賞をいただきましたこと、誠にありがたく、光栄に思っております。今はただ、これまで指導を賜りました、父(七代目尾上梅幸)を含めた先輩の方々に、心より感謝をいたしております。
 しかしながら、この賞をいただくのが私のゴールではございません。11月も歌舞伎座、お正月も国立劇場と、まだまだ舞台は続きます。今日はゴールではなく、新しいスタート、初日と考え、サッカー少年・野球少年のように、私も“歌舞伎少年”になりまして、目を輝かせて、心ときめかせて、大好きな歌舞伎をこれからも勤めて参りたいと思っております。

 10代、20代の頃は「先輩方はなぜ、同じような格好をして、同じようなセリフを言っているのだろう」と歌舞伎に疑問を感じることもありました。それが30代くらいになり、先輩方のおそばに出させていただけるようになってから、その先輩たちの役を自分の肉体に取り入れて、そして心で演じ、その魂が“歌舞伎の様式美”というものになっているのが分かるようになってから、本当に歌舞伎が面白くなりました。いうなれば、今が一番面白いのかもしれません。

 私の大好きな“世話物の重箱の隅をつつくような演技”、これが私だけではなくて、周りの人もそうなってくれたら、もっと面白い歌舞伎になると思っていますし、また、ライフワークの一つである、国立劇場の復活劇、これもまだまだ眠っている狂言がございますから、また奇妙奇天烈(きてれつ)なことをするかもしれませんが、それも一つの歌舞伎と思って、楽しんでいただけたらなと思っております。

 自分のところを褒めるわけではありませんが、歌舞伎界には次から次へと若手が出てきて、とても頼もしいと思っており、この歌舞伎がこれからどういう方向に進むのか、本当に楽しみです。次の世代にスムーズに歌舞伎を渡していくこと、そしてその若い人々を取り巻く、歌舞伎を本当に面白くしてくれる脇役を育てていくことを、これからの私の使命と考えています。