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尾上右近が意気込みを披露~尾上右近自主公演「第一回 研の會」


 8月22日(土)、23日(日)に、国立劇場小劇場で開催される、尾上右近の自主公演「第一回 研の會」。公演に先立ち、尾上右近が意気込みを披露しました。

 初めての自主公演が開催できますこと、菊五郎様をはじめ皆様に感謝申し上げます。以前、猿之助お兄様の「亀治郎の會」に出演させていただき、自主公演の大切さ・尊さ・難しさを感じ、自分の会をやりたいという気持ちに繋がりました。第一回には、是非、猿之助のお兄様に出演していただきたいという思いがあり、お願い致しました。


『吉野山』佐藤忠信

 演目は、舞踊二題になります。『吉野山』は父・清元延寿太夫と、清元で勉強したいという思いがあり選びました。全段清元ですので、歌舞伎の舞台ではなかなかやらない踊りもあります。『吉野山』というと、私が静をすると皆さん思われるのですが、立役も好きで今回は憧れていた忠信に挑戦させていただきます。以前猿之助のお兄様の忠信で、静を踊らせていただいたとき、「私が忠信をするときに静で出てください」とお約束をしていたこともあり、快く引き受けていただきました。
 狐としての可愛らしさ、桜の中で踊る風情と戦の物語との切り替えをお見せしたい、そして、尊敬する猿之助のお兄様と踊ることに喜びを感じています。


『鏡獅子』小姓弥生

 『鏡獅子』は私が歌舞伎俳優になりたいと思ったきっかけの演目です。3歳の頃、曾お爺様(六代目尾上菊五郎)の『鏡獅子』の映画を見て、獅子の毛振りの勇ましさに憧れました。先日、撮影で獅子の衣裳を着けたときは、本当に嬉しくて泣きそうになりました。胡蝶で出演したことは何度かありますが、目の前でなさっている方を羨ましく拝見していました。お稽古をしている今は、その頃の自分に「やれるよ」って報告してあげたい気持ちです(笑)。
 体力という意味でも大変だと思いますが、女方としてきっちりと踊り、後にガラッと変わって獅子になる踊り分けが難しいところだと思います。女方の踊りに重点を置きつつも獅子の間を大事にしたい、毛振りは回数ではなく、振り方に拘りたいと思います。


『鏡獅子』獅子の精

 「研の會」という名前は、研には剣という響きもあり、剣を研ぐという言葉もあります。また研究するという意味もあれば、研佑という私の本名の頭文字でもあります。自主公演ですので、手作り感を大事にしたくて、題字も自分で書いています。
 自主公演を開催するのは、結婚みたいな感じかもしれません。いつかしたいと思っても、きっとこれで大丈夫と胸を張っては出来ないのではないでしょうか。ただ、今やらないと、というか我慢できないという気持ちです。『吉野山』も『鏡獅子』も20代で経験なさる俳優の方も多く、歳をとってきた頃では思うように出来なくなってしまうかもしれません。体力と技術のバランスが取れる時までに何度も勤め、一番いい頃に思うようにできるようになりたいと思っています。