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菊五郎、時蔵、松緑、菊之助が成功祈願~国立劇場「初春歌舞伎公演」


 国立劇場の初春公演では『 南総里見八犬伝』が上演されます。原作の刊行開始から来年で200年。今なお人々の心を魅了する馬琴の名作です。
 公演に先立ち尾上菊五郎中村時蔵尾上松緑尾上菊之助が曲亭馬琴の眠る東京・深光寺で成功祈願を行い、公演への思いを語りました。

【尾上菊五郎】
 馬琴先生のお位牌にお参りしてまいりましたが、成功祈願と共に「先生、あなたが書かれたものとはちょっと違うことをやりますから・・・すいません」と謝ってまいりました(笑)。『八犬伝』では、たいがい犬塚信乃でございましたが、今回は犬山道節。今迄よりも、もうちょっと面白く、もうちょっと色をつけて、お正月公演ということで綺麗な舞台を創り上げたいと思っております。

 信乃の出立はお正月らしく元日に、また、円塚山は雪景色の真っ白に変えるつもりです。それから古那屋はいつも家の中でやっていましたが、それを中川の見える、綺麗な星空の、蛍が飛んでいるところで、浴衣姿でもって三人が義兄弟を結ぶというようなことをしたり、大詰めもいろいろと工夫を考えております。とにかく、わかりやすく、面白く、なんといっても馬琴先生が28年間かけて書き上げたものを3時間でやるのですから、これはもう見せ場ばかりを取り上げております。きっと面白いものになると思います。


【中村時蔵】
 『八犬伝』に出演するのは初めてでございますが、ずっと劇団で梅幸のおじ様がお勤めになっていた犬坂毛野を勤めさせていただくことを嬉しく思っております。

 宣伝の写真では、梅幸のおじ様の姿を真似てあの形を作りましたが、先月舞台裏で菊五郎お兄さんに、急に「あれじゃないふうにしたい・・・中国の女優のチャン・ツィイーが映画でやったような剣の舞をやりたいんだ」と言われて(笑)。剣の舞で小文吾を助けて2人で馬加を討つ・・・お兄さんと相談しながら、一所懸命勤めたいと思っております。お正月ですので、華やかに楽しい『八犬伝』にしたいと思っております。



深光寺で行われた成功祈願の様子

【尾上松緑】
 この『八犬伝』というお芝居は私が子供の頃から、菊五郎のお兄さんの信乃と、亡くなりました團十郎のおじの現八で見せていただいておりました。その時の團十郎のおじの現八が、非常に格好良く、子供の頃から里見八犬伝に出るのであれば犬飼現八と思っておりました。

 そのお役をさせていただけるということが非常にありがたく、また真逆の悪者、網乾左母二郎と二役を替わります。これは羽左衛門のおじさんもそうなさっていたそうで、その替わり目というのを見ていただきたいと思っています。そして、菊之助さん演じる信乃との立廻り、そういう派手なところをお正月ならではの豪華さで表現していきたいと思います。


【尾上菊之助】
 犬塚信乃を勤めさせていただきます。これは父が勤めてまいりました役で、私なりにどういうことができるのか模索している最中でございます。

 『八犬伝』というと劇団を中心として非常に縁のある演目でございますし、團十郎のおじ様と父の『八犬伝』での芳流閣の立廻りは、子どもながらに、とても格好いいなと見ておりました。立廻りは、やはり一つの見せ場ですので松緑さんと相談しながら派手にして、国立劇場でのお正月興行を楽しみにして下さっているお客様に、華やかな舞台をお目にかけたいと思っています。