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勘九郎、七之助が意気込み~10月歌舞伎座・11月新橋演舞場 2ヶ月連続追善公演


 歌舞伎座10月公演「 十月大歌舞伎」、新橋演舞場11月公演「 十一月新派特別公演」は、十七世中村勘三郎二十七回忌、十八世中村勘三郎三回忌の追善興行として上演されます。
 追善興行が歌舞伎と新派の両方で、かつ2ヶ月連続公演で行われるのは初めてのこと。歌舞伎座「十月大歌舞伎」では、『新版歌祭文』『伊勢音頭恋寝刃』『菅原伝授手習鑑 寺子屋』『鰯賣戀曳網』と、十七世、十八世それぞれに所縁の深い演目を上演。また、新橋演舞場「十一月新派特別公演」では、中村勘九郎中村七之助が新派に初参加!十七世、十八世ともに出演していた『鶴八鶴次郎』、十七世が出演を熱望した『京舞』が上演されます。
 公演に先立ち製作発表記者会見が行われ、勘九郎、七之助が意気込みを語りました。

【中村勘九郎】
 この追善興行、実は父(十八代目中村勘三郎)が祖父(十七代目中村勘三郎)の二十七回忌ということで計画をしていたもので、まさかそこに父の追善も加わってしまうとは夢にも思っておりませんでした。今回は藤十郎のおじ様をはじめ、仁左衛門のおじ様、玉三郎のおじ様、梅玉のおじ様、大勢の方が祖父、父の為に出演して下さいます。お客様に楽しんでもらえる良い芝居を創らなくてはいけないというプレッシャーを感じながら、“しっかりしろ”と今から自分を鼓舞しております。

 亡くなってからも、常に父が側にいてくれたように思います。お役をいただいた時は、父だったらどうするだろうと考え、台詞の一言一言、間、空気感、様々なものを凄く意識しました。父が亡くなって2年ですが、その間特に今年は、コクーン歌舞伎、ニューヨーク公演、納涼歌舞伎・・・本当に父がくれた宝物を大事に大事に、僕達でやらせていただいている、そう感じながら勤めていました。

 11月新橋演舞場の『鶴八鶴次郎』は父がこれをやりなさいと言ってくれた演目です。鶴次郎はやりたかったお役ですからとても嬉しく思いました。祖父のものは映像で、父は舞台を見ています。厳しさもそうですし、切なさ加減といい、最後佐平と二人のところでは、子供心ながらボロボロ泣いて見ていました。今回は柄本明さんが佐平を勤めて下さるので、今からとても楽しみです。




【中村七之助】
 こうして追善を歌舞伎座と新橋演舞場、2ヶ月連続で開催させていただける事、本当に感謝しています。それも、祖父が皆様に愛され、父がそれを受け継いで皆に愛されていたからではないでしょうか。父は生前「兄弟仲良くしろよ。俺は一人だったけれどお前たちは二人、2倍になるんだから」と良く言っておりました。この追善も2人いるからこそ2ヶ月連続で勤めさせていただけるのだと思います。

 父は「親父の追善では狂言立てに困らないんだよ。一杯やってくれたから。追善をやるのに、こんなに楽な役者はいないよ」と言っておりました。そういう父も当たり役がたくさんありまして、凄く悩みました。こうして良い狂言が並んだというのも、やはり二人が素晴らしく、偉大な役者であったという事ではないでしょうか。

 11月は初めての新派、また新たな一歩を踏み出せるのではないかなと楽しみにしております。伯母(波乃久里子)はポスターを見て、「写真は良いけど芸事に生きている人だからもうちょっと品がない方がいいよ」とアドバイスしてくれます。やはり波野家の血が伯母にも色濃く入っているので、そういう姿に父の面影を感じてしまいます。2ヶ月、一生懸命、精一杯やらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。