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玉三郎が舞台稽古を前に思いを語りました~国立劇場3月琉球芸能公演『聞得大君誕生』


  国立劇場3月琉球芸能公演では、芸能史上初の試みとして、歌舞伎女方の坂東玉三郎が、組踊の新作『聞得大君誕生(ちふぃじんたんじょう)』に取り組みます。新たな試みに挑戦し続ける玉三郎と、共演する沖縄の中堅・若手の組踊伝承者たちが奮闘する話題の公演に先駆け、舞台稽古が公開され、主演の坂東玉三郎らが舞台への思いを語りました。(上写真:左から、川満香多、坂東玉三郎、玉城盛義)

 

【坂東玉三郎】
 いよいよ明日初日です。皆さんによく教えていただきながら、お芝居のセリフや形を覚え、一緒に沖縄の古典芸術に触れられた事をとても嬉しく思います。また皆さんと将来の事を夢見ながら、お互いに話し合って舞台を創る事ができてとても幸せです。私がこの琉球芸能公演に参加させていただいたのは、文化的な意味や、融合する事の深い意味とかということの前に、沖縄の芸術というものの中に身を置いたら自分がどうなるのか、という好奇心からでした。役者同士でも、初めはお互いに緊張します。それが、芝居をしたり打合せをしたりしているうちに仲間になる・・・綺麗に言えば家族ができるような、そういう事はとても大切なのだと思います。

 沖縄の古典の言葉を覚えるのは大変でした。でも少し分かる言葉ですので、馴れてきた今は、そのうち沖縄口(おきなわぐち)でしゃべれるかなと思ったりしています(笑)。作家の大城立裕先生(88歳)をはじめ、沖縄の古典文学や古典の言葉を研究なさっている先生方がついて、若手の方々を直接指導していらっしゃいます。歌舞伎でも、40年ほど前は60歳~70歳を迎えられた方々が、各劇場について指導なさっていましたが、今はそういう事はほとんど無くなってしまいました。若い方々に対して、70歳、80歳を過ぎた方々が、古典を勉強しながら、言葉一つ一つ、動き一つ一つを直接指導していらっしゃるのは大変素晴らしい事だと思います。


【玉城盛義(たまぐすく せいぎ)
 私達が日頃から取り組んでいる組踊にこうして玉三郎さんに参加していただいた事は大変名誉なことで、私達にとっては大変な事件でございます。また今日の舞台稽古が近づくにつれ、すごいスピードで作品が出来上がっていく様子を肌で感じながら、私達出演者もワクワクしながら毎日稽古に励んで参りました。こういった機会を与えて下さった関係者、私達の組踊に参加していただいた玉三郎さんに感謝申し上げます。そして、またこのような機会に恵まれることを信じて、今回の舞台を精一杯勤めたいと思います。

【川満香多(かわみつ こうた)
 玉三郎さんとのお稽古を通じて、身体が動くということは呼吸をしているということ、息を吸ったときの身体の使い方、吐いた時の身体の使い方、それに乗せて感情も動いていくことができる、という事を教えていただきました。手をどう使ったら綺麗にみえるなど、組踊でも使えるような具体的なアドバイスも多く、非常に勉強になっています。精一杯舞台を勤め、今回組踊を鑑賞してくださった皆様に、組踊って面白いな、と思って頂けるような舞台にしたいと思っています。

東京では 国立劇場・小劇場で3月8日(金)、9日(土)、10(日)の3日間3回公演、沖縄では 国立劇場おきなわ・大劇場で3月15日(金)、16日(土)、17日(日)の3日間3回公演が予定されています。

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