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秋季巡業「松竹大歌舞伎」橋之助、孝太郎、児太郎が意気込みを語りました


 11月1日(木)から始まる秋季巡業「 松竹大歌舞伎」。出演は中村橋之助片岡孝太郎片岡亀蔵中村児太郎ほか。歌舞伎の魅力を分かり易くご案内する「歌舞伎のみかた」、豪傑とうたわれた弁慶の生涯でただ一度きりの涙と恋を描いた名作『弁慶上使』、娘の姿に初々しさと華やかさがあふれる『手習子』の上演です。公演に先立ち、橋之助、孝太郎、児太郎が意気込みを語りました。

 

中村橋之助
 『弁慶上使』は子どもの頃から二世尾上松緑のおじ様や、十七世市村羽左衛門のおじ様方の舞台を拝見していて大好きな演目の一つです。今回、同世代の孝太郎さん、そして甥の児太郎と一緒に勤めさせていただくことができて、とても嬉しく思います。弁慶は義経に仕えた強い男として良く知られているのですが、不思議なことに、今回の『弁慶上使』や『勧進帳』など、歌舞伎の舞台の上ではよく泣くんですね(笑)。

 初役で勤めた時は、大きく見せようと継足をはきこんだり、肉をいっぱい着こんだり、外見にこだわることもしましたが、やはりそれだけではない、ドラマの内面的なものがとても大切で、父(七世中村芝翫)が物語についても、細かく研究していたことを良く覚えています。通常の『弁慶上使』では、引っ込みの際は、黒御簾の演奏ですが、兄(中村福助)が、以前三世實川延若のおじ様と『弁慶上使』を勤めた際に、延若のおじ様が竹本で入っていらっしゃったのを見て、時代らしくて素晴らしいと感じていました。今回も引っ込みのある劇場では、そのようにしたいと思っています。

 『手習子』は児太郎が勤めます。父が81歳の時に、舞台の為に作った、筆が筏になっている"筆筏"という衣裳を着けます。児太郎にとって、今回が初めての巡業になりますが、父が一緒についていってくれるような気がして、心強いのではないでしょうか。


片岡孝太郎
 『弁慶上使』では、初役でおわさを勤めさせていただきます。私の中では芝翫のおじ様のイメージがとても強いお役ですので、そのお役を橋之助のお兄さんと一緒に出来る事を幸せに感じています。また、女方の後輩となる児太郎さんとご一緒するので、先輩としての責任も感じながら勤めたいと思っております。

 自分の娘の父親を弁慶と知らず、その娘が死んでしまうギリギリのところで念願が叶って、弁慶と再会し、娘の父親であることを知ります。子どもの死の悲しみと、弁慶に逢えた嬉しさとの複雑な感情、それをお客様に自然に見ていただけるように演じるのがポイントだと思います。とても辛い、悲しい、そして嬉しい、いろんな表現をしなければいけませんが、どこまで皆様に伝えられるか、一所懸命勤めたいと思っています。


中村児太郎
 初めての巡業に緊張しております。今回は『弁慶上使』の卿の君、しのぶと、『手習子』を勤めさせていただきます。祖父(七世中村芝翫)が大事にしていたお役でもあるので、祖父への追善の思いを込めて勤めたいと思っています。6月国立劇場で橋之助のおじの『俊寛』で千鳥を勤めさせていただき、自分なりにベストを尽くせたと感じています。祖父や父(中村福助)をお手本に、品良くベストを尽くしたいと思っています。