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中村時蔵さんに紫綬褒章

平成22年度春の叙勲・褒章受章者が発表され、日本俳優協会理事の歌舞伎俳優・中村時蔵さんが紫綬褒章を受章することが決定しました。これを受けて、歌舞伎座で記者会見が行われました。

時蔵さんはまず「この度、紫綬褒章をいただくことになりました。まだまだ未熟な私でございますけれども、歌舞伎ひとすじに歩んできたことを評価していただけたのではないかと大変嬉しく思っておる次第でございます。この後は、いただきました章を汚すことなく、ますます芸道に精進していきたいと思っております」と挨拶、「を早く亡くしたこともあり、女方では歌右衛門のおじさま、梅幸のおじさま、最近では芝翫のおじさま、そして父親代わりでございました(先代)勘三郎の伯父にもいろいろと教わりました。今回の受章で、できない私を一生懸命指導してくださった先輩方に、少しでも恩返しができたかなと思っております」と受章の感想を語りました。

一昨年の日本芸術院賞に続いて大きな章を受けたことに対しては「それまでそういった賞をいただいたことがなかったんですが、章をいただける方は年長者が多くて、私もついにそっちの仲間入りをしたのかなというような気がしないでもないですけれども、選んでくださった方々のためにも、そして歌舞伎のためにもますます精進していくことが大事なのかなと思います」と語りました。

思い出深い役として『本朝廿四孝』十種香の八重垣姫をあげ、「私が16(歳)の時に初めて歌右衛門のおじさまに指導していただいたものでございまして、たまたま5月にも大阪松竹座でやるんですが、やればやるほど難しく新たな発見がある役です。三姫の中でも一番位取りが高いお姫様ですし、まずひとつ品というものが、おのずから出てくると思います。とにかくやっていて一番重々しいのは八重垣姫です」とこの役に対する熱意を語りました。心掛けていること、大事にしていることを尋ねられると「子どもの時から歌舞伎は品が大事だということを、祖母からずっと言われ続けてきました。決して道をはずさないように、ということです。これからも歌舞伎の芸の品格を落とさないように勤めていきたいと思います」と答えました。

4月でいったん休場し建て替えに入る歌舞伎座に対しては、「昭和35(1960)年4月にここで初舞台を踏みまして、ちょうど今年が50年目の節目になります。とても寂しいですが、(再開場までの)3年は長いようでそうでもないので、あっという間に来るような気がします」と想いを語りました。